クライアントが大きくなるにつれ製造生産量が増加。高まる資金需要に対応したかった|D2Cブランドの立ち上げ支援サービス「D2C STATION」がRBFを選んだ理由

    24 January 2024

    クライアントが大きくなるにつれ製造生産量が増加。高まる資金需要に対応したかった|D2Cブランドの立ち上げ支援サービス「D2C STATION」がRBFを選んだ理由

    モノック株式会社

    代表取締役CEO | 小澤 一郎 氏

    モノック株式会社(以下「モノック」)が運営する、 D2Cブランド立ち上げ支援サービス「D2C STATION」。商品企画から販売まで、一気通貫でブランド運営を託すことができ、ブランド運営の経験がなくても、最短3ヵ月でD2Cブランドの立ち上げを可能にするサービスです。

    D2C STATIONはモノづくりを中心とするビジネスモデル上、資金が先に必要になり、クライアントからの回収は遅くなってしまいます。そのためその間のキャッシュフロー管理はモノックの大きな経営課題です。

    同社はその経営課題に対処すべく、レベニュー・ベースド・ファイナンス(以下「RBF」)を検討し、Yoii Fuelを利用しました。成長に伴い資金需要の質が変わった理由、なぜRBFの利用を考えたのか、Yoii Fuelの使い勝手は。モノック代表の小澤さんに聞きました。

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    小澤 一郎 | OZAWA Ichiro

    モノック株式会社 代表取締役CEO

    2011年大学在学中に友人のエンジニアと共に画像SNS「papelook」(パペルック)をリリースし、サービス拡大のためパペルック株式会社(現モノック株式会社)を創業。papelookを全世界2,000万ダウンロードを超えるヒットアプリに成長させる。その後papelookのユーザー基盤を活かして化粧品メディア事業にピボットし、さらに化粧品メディア事業で培った化粧品知識とトレンド情報に加え、製造から販売までのノウハウ・ネットワークを基に、自社ブランドコスメやクライアントワークでヒット商品をプロデュース。現在は「D2C STATION」としてD2C化粧品の立ち上げを企画から販売まで一貫して支援している。

    D2Cブランドの立ち上げ支援サービス

     

     ── モノックが運営する「D2C STATION」について教えてください。

     

     モノックが運営する「D2C STATION」はD2Cブランド立ち上げ支援サービスです。メインは化粧品ですが、他にもオートミールなどのフード、入浴剤、歯磨き粉なども作っています。最近は枕やメンズコスメも手掛けました。D2C系であればだいたいのものは対応できるんじゃないかと思います。メーカーだけでなく、OEM工場や広告代理店が自らブランド製品を作りたいというケースもありますし、異業種では、ある日本酒メーカー様から自社の麹(こうじ)を使った商品を作りたいと相談いただいて、化粧品開発に取り組んでいます。(編注:以下、化粧品を前提にインタビューを続けます)。

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    ── どうしてD2C STATIONを立ち上げたのでしょうか。

     

     モノックでは2015年から化粧品メディア「FAVOR」を運営し、化粧品ブランドのマーケティング支援をしていたのですが、2017年くらいから、海外で「D2C」が広まっているという話が聞こえてきました。それで自分たちでもブランドを作ってみることにしたんです。メディアを運営していて化粧品のこともわかっているし、いけるだろうと。今振り返ると軽い気持ちで決断してしまいました。化粧品自体の知識はあってもモノづくりなんてしたことがなかったので、原価率をどれくらいにするかもわからなければ、デザインや商品撮影といったノウハウもありません。そんな状況で作ったものが売れるはずもなく、大量の在庫を積み上げる結果になってしまいました。

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    とはいえ、今後D2Cに参入する会社が増えるのは間違いありません。しかし我々のように失敗する会社が現れるかもしれない。それならばこの失敗をノウハウにして、支援側に回ったほうがいい。そうして「D2C STATION」を立ち上げました。

     

     ── D2C STATIONなら、ブランドを立ち上げたことのない会社でもD2Cビジネスに参入できるんですね。

     

     はい。化粧品ブランドを立ち上げるに当たっては、企画・製造・物流・プロモーション・販売といったバリューチェーンすべてに対応しなければなりません。しかし新規事業としてブランドを立ち上げる際、新規事業担当者は1〜2名ということも少なくなく、これらすべてに対応するのは非常に大変です。その点D2C STATIONなら、極端に言うとクライアント様に手を動かしていただかなくても、上記のすべてにモノックが対応します。ヒアリングしたら、こちらから「こういう商品はどうですか」と商品を企画して提案していくので、それにフィードバックをいただきながら商品開発を進めていくイメージです。そこから事業計画を策定し、商品開発や製造へと進めていきます。

    特徴の一つは最短3ヵ月での商品開発

     

     ── D2C STATIONにはどんな特徴があるのでしょうか。

     

     サービスの特徴は3つあります。まずはモノックが化粧品に関しての深い知見をもっていることです。繰り返しになりますが、我々は2015年から化粧品メディアを運営しています。その編集部が商品開発も担当することで、クライアントに最適な提案ができるのです。次に商品開発スピード。大手化粧品会社では商品開発に1〜2年かかることも珍しくありませんが、D2C STATIONなら最短3カ月(通常は5〜6ヵ月程度)での開発が可能です。最後に一気通貫の支援体制。先述した通りバリューチェーンを一手に支援します。ブランドサイト作成や薬機法上の手続き、モノックで契約している倉庫からの商品発送や店舗卸に営業など、すべてに対応できるのが、D2C STATIONの特徴です。

     

     ──なぜこんなにも早く開発が可能なのでしょうか。

     

     企画を内製化している点が大きいですね。大手化粧品会社が商品開発をする際には、マーケティング会社や企画会社とチームを組んで何ヵ月もかけて企画しますが、モノックはそこを内製化することで、企画自体は1カ月程度で終えてしまえるんです。

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    また一般的に化粧品OEM工場の稼働率はかなり高く、製造までに半年待ちということもありますし、一見さんお断りという工場も珍しくありません。その点モノックは常時40ブランド以上の製造をお願いしているので、ラインを確保しやすいんです。こういった事情が組み合わさり、開発期間が短縮できています。

    またD2C STATIONでは、商品企画がXX円、マーケティングがXX円といった具合に、支援メニューごとに金額を決めています。これは何十社も同時に取引しているので、それぞれで細かく見積りをしていると時間がかかってしまうからです。これもスピードを上げるための工夫ですね。

     

     ── D2C STATIONなら販路まで対応いただけるんですね。

     

     商品を小売店で売りたいと思っても、普通は伝手がありませんからね。モノックは継続的に色々な小売店と商談しているので、LOFTやハンズ、PLAZAなどを含め、トータルでバラエティストア約600店舗、ドラッグストアを合わせると約2万店舗に商品を卸せる可能性があります。

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    発売元には「モノック株式会社」の表記

     

     ── クライアントにはどんな企業が多いのでしょうか。

     

     D2Cブランドの立ち上げには数千万円は必要になってきます。そのため創業からかなりの年数が経ち、ある程度本業がしっかりしていてキャッシュがある、でもD2Cのノウハウはないという中小企業がクライアントには多いですね。とはいえ、後述するように最近は大手企業のクライアントも増えてきました。逆にD2Cスタートアップは自分たちでやってしまうので、我々のクライアントには多くありません。

     

     ── これまでに何十ブランドも手掛ける中でわかった、売れる商品の秘訣を教えてください。

     

     「自分がこれを欲しいから」という理由で工場に問い合わせて製造してしまう方が相当数いるのですが、これは絶対に失敗するパターンです。

    化粧品売り場に行けばわかるように、世の中にはすごい数の化粧品があって、しかも大手企業はとんでもない金額の広告費をかけているわけです。そのため消費者に購入してもらおうと思ったら、まずはマーケティングをしっかり考えこまなくてはなりません。しかも今は広告枠が少ないと言われていて、広告も簡単には出せないんです。そのため、大手企業を差し置いてでも広告枠を使いたいと媒体に感じてもらう必要があります。それは商品自体の目新しさかもしれないし、インフルエンサーとのコラボかもしれない。キャッチーな言葉や見た目のインパクトかもしれません。D2C STATIONでは「マーケティングから逆算した商品企画」と呼んでいますが、この視点をもって商品開発に取り掛かるのが、成功の秘訣ですね。

    大手クライアントの増加により高まる資金需要

     

     ── それではファイナンス周りのお話も聞かせてください。まずはこれまで実施した資金調達手法を教えてください。

     

     2023年に株式投資型クラウドファンディングを実施しました。あとは融資が主な資金調達方法です。かなり昔ですが、ベンチャーキャピタル(以下「VC」)から資金調達をしたこともあります。

     

     ── ビジネスモデル上のファイナンス的な特徴を教えてください。

     

     モノックでこれまで運営してきたメディア事業と比較すると、商品原価のために資金が先に必要になる点が最大の特徴でしょう。商品を作るために先に資金が必要になり、クライアントからの回収は基本的に製品販売後になるので、経営上はこのギャップに対処しなければなりません。また売れれば売れるほど先払いで商品を製造しなければならないので、キャッシュフロー管理はどんどん大変になります。

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    また化粧品のOEM工場は韓国に多いこともあって、モノックは海外取引も多いのですが、韓国企業からは基本的には前払いを要求されます。これも財務的には大変な点ですね。

     

     ── クライアントが大きくなることが資金需要に影響を与えることもあるのでしょうか。

     

     あります。以前はクライアントには中小企業が多く、オーナー社長が「前払いした方がいいならするよ」と、前払いしていただくケースも少なくありませんでした。ただ最近はクライアントに大手企業が増えてきたんです。それ自体は喜ぶべきことなのですが、特に上場企業は納品後でないと資金を出せないというケースも多く、そうするとその間の資金需要は高まります。

    また大手企業がクライアントになることで、最初からある程度の数を製造するケースが増えてきたんです。当然必要な資金も大きくなるので、ここでも資金需要が高まります。さらに、化粧品は1年を通じて平均的に売れるわけではなく春と秋によく売れるため、そこに合わせて一気に製品を製造しなくてはならないという季節性の資金需要もあります。これらに一気に対応しなければならない点で、キャッシュフロー管理は大変ですね。

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    会計システムと連携させるだけで、手続きはほとんど不要

     

     ── それではRBFの話も聞かせてください。Yoii Fuelをご利用以前、RBFにどんな印象がありましたか?

     

     D2C業界ではファクタリングを利用する企業も多いと聞きますが、ファクタリングは支払い期限がすぐに来てしまいます。それに比べてRBFは支払い期間がかなり長いので、その点が利用者にとっては嬉しいという印象をもっていました。

     

     ── 今回、Yoii Fuelを利用することになったきっかけを教えてください。

     

     ODD FUTUREの長田代表がSNSで「Yoii Fuelの導入事例に出た」と告知していたのを見たんです。

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    わずか60分で資金調達が完了、事業へ専念できた

    先述したように、D2C STATIONのビジネスモデル上、キャッシュフロー管理は大きな課題なので、その解決を目的としてYoii Fuelにコンタクトをとりました。

     

     ── VCからの調達という選択肢はなかったのでしょうか。

     

     VCから調達は選択肢になかったのですが、本業と提携できそうなCVCからの出資受け入れは今も視野に入っています。とはいえ、いいパートナーがみつかったとしても出資をしてもらうまでには半年はかかるでしょうから、優先順位は高くありませんでしたね。

     

     ── Yoii Fuelを使った感想を教えてください。

     

     モノックでは会計システムにfreee会計を利用しているのですが、Yoii Fuelとfreee会計が連携しているため、ほとんど手続きがいらないんですよね。仕事の合間に両者を連携させて、あとは直近の決算書と本人確認資料をオンラインで提出するくらいで手続きは終わってしまいました。面談もオンラインで1〜2回やっただけで、手間が全然かからなかったことに驚きました。

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    ── RBFをするにあたって、Yoii Fuel以外の他社は検討しましたか?

     

     はい。その中でなぜYoii Fuelを選んだかというと、ここもスピード感です。他社は審査から着金まで2〜3週間程度かかると聞きました。それでもかなり早いんですけどね。一方でYoiiさんの場合は数日で済むとのことだったので、早すぎて驚いたのを覚えています。

     

     ── 今後もYoii Fuelを使う可能性はありますでしょうか。

     

     はい。このまま順調にクライアントが増えたり大きくなっていったりすると、また資金需要が発生すると思います。その際にはお世話になりたいです。

     

     ── ありがとうございます。最後に、D2C STATIONの今後の展望を教えてください。

     

     ここ数年、化粧品をはじめずっとD2Cブランドを運営し続け、ようやく最近、創業200年の大きなメーカーから仕事を任せていただけるようになってきました。クライアントが大きいと広告予算も大きくなるので、ヒット商品を生み出せる確率は高まります。D2C STATIONではどんどんヒット商品を出していきたいと思っているので、これは嬉しい傾向です。

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    化粧品は、年間10万個売れたらヒット、100万個でメガヒットと言われています。D2C STATIONからヒットは毎年2〜3ブランドは出したいと思っていますし、メガヒットも1つぐらい出していきたいです。これが当面の目標ですね。今後もクライアントと並走してヒット商品を生み出していきたいです。

     

     ── Yoii もモノックを応援しています。小澤さん、本日はありがとうございました。

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