日本の会計基準では評価されにくい将来債権を現金化できた革新的なサービス

    28 February 2023

    日本の会計基準では評価されにくい将来債権を現金化できた革新的なサービス

    株式会社FABRIC TOKYO

    ファイナンス担当 | 西田 雅俊 氏

    今回はオーダービジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO」を手掛ける株式会社FABRIC TOKYOの西田さんにインタビュー。資金調達においてどのような課題を抱えていたのか、Yoii Fuelを使ってみた感想、同社における今後の展望などを伺いました。

    カスタムウェアを”当たり前”にするために

    ーーFABRIC TOKYOについて教えていただけますか。

    「Lifestyle Design for All」をミッションに掲げ、カスタムウェアの民主化を通じて人生や世界を楽しくすることを目指し、オーダービジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO」を展開しています。

    ECサイトで服のカスタムオーダー、購入ができることが特徴です。一方では、サプライチェーンのIT連携やクラウドでのデータ管理、マーケティングオートメーションツールを活用して、ユニークな顧客体験を実現するためにさまざまな工夫を凝らしています。

    ーーなぜカスタムウェアの領域に着目したのでしょうか。

    カスタムウェアは、潜在的なニーズが多く、将来的にはさらに広がる可能性があると感じています。しかし、現在の一般的なオーダーメイドは、お店に入りづらい、値段が高い、何度もお店に足を運ばなくてはいけない・・・など、「敷居が高い」と感じる様々な障壁がありました。

    代表の森自身、背が高く既成のスーツのサイズが合わないという悩みを抱えていたことから、もっと気軽に、自分に合ったカスタムウェアを楽しんでいただけるよう、ECサイトから簡単にオーダメイドのビジネスウェアを購入いただけるブランド「FABRIC TOKYO」を立ち上げ、展開しています。

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    FABRIC TOKYOの本社兼ショールームには生地や仕上がり品のサンプルが用意されており、展示会やイベント、スタッフの採寸研修の場としても使用されている

    ーー西田さんの経歴について教えていただけますか。

    2010年に大学卒業と同時に監査法人へ入所し、法定監査に携わりました。2013年には、事業会社へ転職。経理業務やスタートアップ投資業務を行いました。最後の1年間は、リハビリ企業の経営にも参画していました。

    FABRIC TOKYOに入社したのは2020年1月です。キャリアの根底に、好きなことで仕事をしたいという想いがありました。私は素朴に洋服が好きだったので、参画することにしました。

    当社では、新規事業や工場の開発、FP&Aの基盤構築、経理業務、資金調達などを担当しています。経営企画チームに所属しているため、柔軟に業務を進めていますね。

    顧客資産がバランスシートに反映されないことに歯痒さを

    ーーYoii Fuelを利用する前に抱えていた課題について教えていただけますか。

    なかなか一言で表すのは難しいですが、日本の会計基準に対する疑問でしょうか。

    当社は、お客さまの体型やお好みなどのデータをお預かりしているほか、実際の購買データも蓄積されています。リピート率なども含め総合的に分析することで、高い精度で将来の売上高を予測することも可能です。

    これはちょっとした自慢ですが、前期の事業計画と実績の誤差は1%未満でした。7年間事業を行っているため、データの分析精度が非常に高くなってきています。

    SaaSのようなリカーリング性の高い事業を展開していますが、日本の会計基準では将来の売上を無形資産として認識する概念がありません。

    有形資産を担保として借入するケースはありますが、無形資産は会計上認識できないため、無形資産を担保にした借入などの整備が遅れているという印象がありました。バランスシートへの計上、すなわち担保性があるということにはならないのですが、整備が遅れている一因になっているように思います。

    当社の顧客資産は大きな価値を持つ無形資産ですが、資産性が正しく評価されないことに歯がゆさを感じていました。

    Yoii Fuelはこのような無形資産を正しく評価してくれる革新的なアイデアだと思ったのと同時に、弊社のビジネスモデルとも相性が良いと感じました。

    ーーデータドリブンな経営ができているポイントを教えていただけますか。

    経営企画チームによる戦略とそれを実現するためのデータアナリストによる支援でしょうか。

    経営企画やファイナンスチームは、どのようなデータセットを使って事業計画の精度を高め、どのような切り口で分析して施策に移すかという戦略を考えています。データアナリストチームは、それをサポートする役割も担ってもらっています。

    当社のデータアナリストチームは非常にユニークな存在です。広告出稿のアルゴリズムを分析し、どのメディアへどのくらい資金を投下するべきかを分析したり、どのようなお客様がリピートしてくれたのかといった分析も行っています。

    100名程度の規模でありながら、特にアパレル業界で言えばお客様からお預かりしているデータの量や質、分析力は随一ではないかと思っています。

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    RBFは調達プロセスがスムーズかつ、D2Cとの相性が良い

    ーーYoiiのことはどこで知りましたか。

    Yoiiの資金調達に関するプレスリリース(22年9月)をたまたまFacebookで見かけました。

    ーーレベニュー・ベースド・ファイナンシング(RBF)のことは知っていましたか。

    存在は知っていました。しかし、国内にはプレイヤーがほぼいないということも把握していました。そのため、評価のストラクチャーを持っている企業は少なく、難しいかなと思っていました。なので、プレイヤーが登場するのを楽しみにしていましたね。

    ーーRBFに対する不安はありましたか。

    全くなかったですね。先ほどお話しした課題を解決するソリューションでしたので。また、国内外のファイナンスに関するトレンドを追っていたので、仕組みそのものに対する不安はありませんでした。

    ーー他社との比較はしましたか。

    厳密にはしていません。Yoii以外の国内企業も存じ上げていましたが、評価モデルの構築が難しいというお話を伺っていました。そのため、比較する余地がなかったのが現状です。

    ーーYoii Fuelを利用しようと思った決め手はなんでしょうか。

    まずは、資金調達までのプロセスがスムーズなことですね。MTGやデータ提供などはすべてオンラインで完結するため、ストレスなく利用できると感じました。

    手数料は銀行と比較すると安くはないですが、ノンバンク系の借入コストとほぼ同じなので、利用しない手はないと感じました。

    弊社のビジネスモデルは、SaaSのようにリピート顧客の売上によって高いLTV/CACを実現する形となっています。新規獲得に必要な資金をRBFで調達し、リピート顧客による売上で支払いを行っていく点で、Yoii Fuelの仕組みと非常にフィットしていると感じました。

    サポート体制についても、安心感がありました。宇野さん(Yoii代表)と話している時は、プロフェッショナルな雰囲気を感じましたし、的確なサポートや様々な提案をいただけたのが嬉しかったです。

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    オンラインで完結する調達プロセスとサポート体制に感動

    ーーYoii Fuelのサービス体験はいかがでしたか。

    本当に快適でした!銀行とのやり取りで最もストレスを感じるのは、ペーパーワークだと思います。たまに紙で送るよう依頼がある場合は、コピー機で印刷して持参することもあります(苦笑)。

    Yoii Fuelの場合、決済代行サービスからデータをダウンロードし、それをシステムにアップロードするだけなので、非常にスムーズなプロセスだと感じました。

    生産性を低下させないことの重要性に強く共感できました。デジタル化やプロセスの摩擦をなくすことは、Fintech企業がもたらすインパクトとして大きなものだと改めて認識しましたね。

    サポート体制もありがたかったですね。Yoii Fuelにデータ入力すると、調達可能額と手数料率が算出されます。その際、鈴木さん(Yoii事業開発)に相談して、目標調達額までたどり着くためにどうすればいいかなどを教えてもらいました(笑)。

    オンラインでスムーズに完結するプロセスでありながら、カスタマーサポート体制も構築されているため安心して利用できました。

    ーー資金調達のスピード感に関してはいかがでしたか。

    スピード感には驚きました。年末に承諾の連絡を受け取った時、着金は年明けくらいになるだろうと思っていました。しかし、その翌日には着金が完了していたので、とても感動しました。

    あくまで私の感覚ですが、銀行より2週間くらいは早かったと思います。本当に驚きました。 本来、着金まで2週間くらいかかるところが1営業日になるのは、スピードが重要なスタートアップにとって革新的で素晴らしいサービスだと思います。

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    ーー資金使途について教えていただけますか。

    主に広告宣伝費やプロダクト開発費用など、マーケティングやUX体験向上のために活用しています。

    当社の属するアパレル産業には、年に2回の繁忙期があり、広告投資なども比較的繁忙期に集中する傾向にあります。

    一方、弊社は前述の通り顧客資産を継続的に構築していくビジネスモデルのため、閑散期における広告投資については毎年頭を悩ませる問題となっています。

    今回はRBFのスキームに助けられ、閑散期でも効率的に広告に投資できています。そのため、次の繁忙期で効果として現れるのが楽しみですね。

    ーーズバリ、またYoii Fuelを利用したいと思いますか。

    はい、季節性のあるビジネスなので、適切なタイミングで利用させていただきたいと思います。

    ーーYoii Fuelへ今後期待することはありますか。

    国内だと比較対象がないので難しいですね。欲を言えば、より早く、より大きな金額を調達できると嬉しいですね(笑)。

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    まずは国内市場の開拓に集中、IPOも視野に

    ーーFABRIC TOKYOとして成し遂げたい野望を教えてください。

    冒頭申し上げたようにオーダメイドという服の買い方を、日本だけでなく、世界に広めていきたいです。

    国内アパレル業界は縮小傾向にある一方、カスタムウェアの領域は拡大見込みがあり、かつブルーオーシャンの状態です。顧客体験が向上すれば確実に普及するポテンシャルがあると思っていますし、私たちのミッションの実現に近づくことができると考えています。

    ほんの20年前までは、試着もできない、実物を手に取ることもできない、そういった理由から服をECサイトで買うのは一部の人だけでした。それが今では、誰もが当たり前のようにECサイトで服を買っています。

    FABRIC TOKYOではそれと同じように、既成ではなくオーダーメイドで服を買う、カスタムウェアが当たり前になっているということを近い将来実現していきたいです。

    ーー今後は海外展開も見据えているのでしょうか。

    マーケットリサーチは粛々と進めています。やはり「ジャパンクオリティ」への評価は非常に高いと感じています。とはいえ、国内でもっともっとリピーターのお客さまを増やし、しっかり足元の事業を伸ばしていくことが最優先事項ですね。

    ーーIPOは視野に入っているのでしょうか。

    はい、エクイティ調達も実施しているため、IPOは検討しています。とはいえ現在の市況を考えると、タイミングをしっかり考える必要があると思っています。

    既存株主の皆様からもご理解をいただいており、むやみに急ぐことなく本質的な価値を追求してほしいと言っていただいているため、非常にありがたく、恵まれていると感じています。

    あくまで個人的な感想ですが、現在のスタートアップのマーケット環境は妥当なものと考えており、バブルが弾けて適正水準に落ち着いたという感覚です。落差があって厳しいシチュエーションではありますが、今こそ、事業の真価を問われる状況だなと感じていますね。

    デットでもエクイティでもない新たな資金調達手段でD2C企業を支援

    弊社では、D2CやSaaSをはじめとするスタートアップへ成長資金を供給するべく、レベニュー・ベースド・ファイナンシング(RBF)プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営。デットでもエクイティでもない新たな資金調達手段として、これまで数十社のスタートアップにご利用いただいています。少しでも関心のある方は、以下より無料相談をお申し込みください。

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