わずか60分で資金調達が完了、事業へ専念できた

    31 August 2023

    SAAS

    わずか60分で資金調達が完了、事業へ専念できた

    株式会社ODD FUTURE

    代表取締役 | 長田 竜介 氏

    コオロギを用いたフードテック事業と健康食品 原料/OEM事業を運営する株式会社ODD FUTUREへインタビュー。資金調達において抱えていた課題やなぜRBFを活用しようと思ったのか、「Yoii Fuel」を使ってみた感想などを長田氏(同社代表取締役)へ伺いました。

    サステナブルかつ高タンパクなことから「昆虫食」に着目

    ーー長田さんの経歴について教えていただけますか

    はい、私は明治大学を卒業した後、新卒で豊島株式会社という専門商社に入社しました。

    最初に配属された繊維の事業部では、繊維の原料の仕入れやトレーディング業務、OEMの生産などに携わっていました。

    その後、2019年頃に会社が商社業だけでなく、コンシューマーブランドも手がけることになりました。いわゆるD2Cの先駆けのような形です。

    私はその流れの中で自社ブランドも担当し、いわゆるものづくりのプロセス全体、すなわち川上から川下までの各段階を経験させていただきました。

    その経験を基に、新しい素材を使いながら、川上から川下までのサプライチェーンを統合する形で、ODD FUTUREを創業したという背景になります。

    ーー事業内容について教えてください

    弊社の事業内容は主に2つの部門から構成されています。1つ目はフードテック事業部、2つ目は原料OEM事業部です。

    フードテック事業部では、2つのサービスを展開しています。1つ目のサービスは、コオロギという昆虫食の原料を使用した食品の生産から販売までを一貫して手掛けるものです。2つ目のサービスは、OEMで商品を企画し、製造委託する工程をデジタル化するマーケットプレイス兼SaaS事業です。

    一方、原料OEM事業部は、伝統的な商社業となっています。この部門では、食品原料の取り扱いを中心に、OEMとして顧客の活動を支援しています。

    ーーなぜ食品なのか、なぜ昆虫食に着目されたのでしょうか

    当初から私たちは純粋なインターネットビジネスよりも、リアルとテクノロジーを組み合わせた新しいスタートアップの方向性を探求していました。

    食品産業は市場規模が大きく、参入障壁も高いため、ここにテクノロジーを導入することで、非常に大きなビジネスチャンスがあると感じました。

    特にフードテックの中でも、代替タンパク素材という市場が今後急成長する可能性があると考えました。私たちは商社時代にサステナブル素材を扱っていた経験があり、植物肉などの代替タンパク素材に注目しました。

    そして、次に来る代替タンパクとして、培養肉や昆虫食などを検討しました。昆虫食は参入しやすく、市場も未開拓であると感じ、コオロギを使った事業から参入を決めました。

    当初は市場規模が測りきれないほど小さかったものの、2030年には世界で1兆円の市場規模になると予測されています。国内市場も2021年に10億円規模まで成長し、私たちは約20%のシェアを占めています。

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    同社ではコオロギを原料としたプロテインなどを取り扱う

    ーー昆虫食の中でも、なぜコオロギに着目されたのでしょうか

    まず、コオロギはタンパク質が豊富で非常に高い栄養価を持っています。

    次に、コオロギの生産は他の昆虫に比べて環境負荷が低く、特にCO2排出量が少ない点が魅力的です。例えば、牛と比較して1kgのタンパク質を生産する際のCO2排出量は約30分の1となり、サステナビリティの観点からも注目されています。

    さらに、昆虫食=「気持ち悪い」というイメージがある中、コオロギは味が美味しく、消費者からも受け入れられています。世界的にも昆虫食ではコオロギが主流となっており、栄養価の高さ、サステナビリティ、美味しさが評価されています。

    ーー生産がしやすいという側面もありますか

    はい、コオロギは非常に飼育しやすいです。プラスチックのカゴの中で、卵からわずか4週間で収穫が可能で、1年に9-10回も収穫できます。このような動物性タンパクの供給源は他にはなかなか見られません。

    狭い土地でスピーディに飼育できることから、環境負荷が低く、人口の増加に伴う効率的なタンパク質の供給ができます。

    このような特性を総合的に考慮すると、コオロギは今後の食品産業において非常に大きな可能性を秘めていると感じ、コオロギを選択しました。

    時間のかかる事業であるため、希薄化はなるべく避けたかった

    ーー資金調達において抱えていた課題について教えていただけますか

    弊社はこれまで2回のエクイティ調達(シード/プレシリーズA)を行っていますが、リアルとテクノロジーを組み合わせた事業領域であるため、一夜にして売上が10倍になるような展開は期待できません。そのため、創業者の持ち分が頻繁に希薄化することは、なるべく避けたいという思いがありました。

    また、スタートアップの資金調達環境が悪化したこともあり、通期で黒字化するという方針に切り替えました。そして、黒字化が実現できたため、エクイティにこだわらず資金調達の方向性を考えることにしました。

    しかし、黒字化が期中であったため、銀行からプロパー融資を受けることが困難な状況でした。そこで、それまでの期間にデットでもエクイティでもない別の調達方法があればと考えていました。

    ーーどのようにしてRBFを知ったのですか

    実は他社から連絡があり、そこで初めて知りました。お話を聞いている中で、RBFが魅力的な仕組みだと感じました。複数企業を検討した結果、Yoiiから調達することに決めました。

    ーーRBFを活用する上で懸念点はありましたか

    はい、いくつかありました。まずは、RBFを活用することで他の資金調達方法が活用しにくくなるのではないかという漠然とした不安がありました。

    また、手数料が銀行融資の金利よりも高いため、経営課題として十分に加味して対応しなければならないという認識はありました。

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    インタビューに答える長田氏

    審査書類の提出を迅速で完了できたため、事業へ専念できた

    ーー「 Yoii Fuel」利用の決め手について教えてください

    はい、まずは見積や仕組み自体が魅力的だったという点です。それに加えて、担当者の方とのコミュニケーションが非常にスムーズであり、サービスのUI/UXも非常に良かった点が印象的でした。

    他社でも書類提出をしていたのですが、システムの不具合で認識されず、審査が遅れるなどのトラブルがありました。

    そのような中、Yoiiでは初回商談を終え、15分後には登録から書類提出まで終わりました。

    その後、すぐに私が事業へ専念できたこと、そして、無事に審査も通過して資金調達できた経験は非常に魅力的だと感じました。

    ーー資金調達までにどのくらい工数がかかりましたか

    調達までにかかった作業時間は、60分程度でした。まず30分の面談があり、その後15分で書類提出、さらに相談や交渉の電話を15分で終えることができました。

    エクイティでの調達には3-4ヶ月もかかりました。初めての起業だったことや、私自身の調達能力が足りなかったためかもしれませんが、それくらいの時間が必要でした。

    着金までのスピード感も素晴らしく、2週間程度でした。ユーザーとして不便を感じることが一切なかったと思います。

    仕入れ資金として資金調達を実施、売上増加へ繋がった

    ーー資金使途について教えてください

    主には仕入れ資金です。弊社のようにリアルとテクノロジーを組み合わせた領域では、先に仕入れが発生します。

    その仕入れに必要な資金をエクイティ調達すると、資本コストが非常に高くなってしまいます。このため、デットやRBFのような方法が適切だと考えました。

    リアルとテクノロジーの組み合わせによるビジネスは、資金調達の戦略も独特のものが求められることがあります。今回の調達は、そのような特殊なニーズに対応するための重要なステップだと感じました。

    ーー資金調達できたことで、売上増加に繋がりましたか

    はい、今回は仕入れ資金さえ確保できればすぐに売上げが立つという状況だったため、売上増加に直接繋がりました。

    今回の経験は、資金調達の戦略とタイミングの重要性を再認識させる貴重なものとなったと個人的には感じています。

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    RBFは調達コストが低く、挑戦者を応援してくれる

    ーーエクイティやデットと比較した感想を教えていただけますか

    今回のRBFによる資金調達は、調達コストが非常に低いと感じました。時間がかからず、

    将来債権を譲渡するだけなので、株式が希薄化しない点が大きなメリットだと感じました。

    さらに、VCとの交渉のような精神的な負担もなく、自分自身がCFOにならなくても済んだため、総合的にみて調達コストが低いと感じました。

    また、従来の銀行ほど審査が厳しくなく、スタートアップのような挑戦者を応援してくれるありがたさを感じました。これは新しいビジネスモデルに取り組む企業にとって、非常に魅力的です。

    弊社のビジネスモデルは、一定の不確実性がある中、成長スピードなどを考慮すると、ミドルリスク・ミドルリターンなのではないかと考えております。しかし、そのようなビジネスに相応しい資金調達手段はこれまでなかったと思います。

    ーー今後、Yoiiへ期待していることはありますか

    貴社が今後さらに成長し、シンジケートローンなどで大型調達できれば、より低いコストで資金供給できるようになると、多くのスタートアップに喜ばれると感じます。

    ベンチャーデットやRBFの市場が拡大する中で、手数料の問題は今後のビジネス展開においても重要な要因になるのではないでしょうか。特に、競合他社との比較や市場の動向を考慮すると、手数料が下がればユーザーにとって大きなメリットとなる気がします。

    ーー金額の規模に関してはいかがですか

    金額のサイズに関しても、確かに大きな調達ができれば、運転資金をRBFやベンチャーデットで賄えるようになりますね。これによって、経営がよりスムーズになり、成長のスピードも加速するかもしれません。

    例えば、月商の4ヶ月分を調達できるような体制が整えば、より大胆な戦略を立てられるかもしれません。また、銀行融資の補完としての役割も発揮されるかと思います。

    将来的にはサステナブル産業の総合商社へ

    ーーさいごに、今後の展望について教えてください

    弊社の祖業はコオロギを用いたフードテックから始まりましたが、現在はそれだけにとどまらず、食品、化粧品、雑貨などの商品企画や開発製造といったものづくりの一連の流れをデジタル化するマーケットプレイス兼SaaSを展開しています。

    コオロギを起点に、ものづくり全体をサステナブルに進化させる方針を掲げており、最終的な目標としてはサステナブル産業の総合商社への成長を目指しています。

    これまでのスタートアップは、インターネットビジネスがスタンダードであったのに対し、弊社はリアルとテクノロジーを融合させた新しい形のビジネスモデルを追求しています。

    既存の総合商社が川上から川下までを抑えているようなケースを、スタートアップとして創り上げていくのが我々の展望です。これにより、産業全体の持続可能な発展に貢献していくことを目指しています。

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