手数料は数%でも高くない。フレッシュペットフードD2C「ココグルメ」が運転資金の確保にRBFを選んだ理由

    22 September 2023

    手数料は数%でも高くない。フレッシュペットフードD2C「ココグルメ」が運転資金の確保にRBFを選んだ理由

    株式会社バイオフィリア

    代表取締役CEO | 岩橋 洸太 氏

    株式会社バイオフィリア様(以下「バイオフィリア」)は、獣医師が監修した栄養価が高い愛犬用フレッシュペットフード「ココグルメ」や、愛猫用フレッシュペットフード「ミャオグルメ」を提供するD2Cスタートアップ企業です。そのバイオフィリアは、主に運転資金の確保を目的として、Yoii Fuelを通したレベニュー・ベースド・ファイナンシング(以下「RBF」)を実施しました。

    D2Cスタートアップ企業とRBFの相性、既存の金融機関からの資金調達との違い、またバイオフィリア代表取締役CEO/共同創業者で金融機関出身の岩橋さんが「RBFの手数料率は妥当」と考察する理由を、岩橋さんと取締役COO/共同創業者の矢作さんに伺います。

    家族同然だから、おいしくて栄養のある食べ物を

    ── まずは創業者/取締役の矢作さんにお話を伺います。バイオフィリアの提供するペットフード「ココグルメ」について教えてください。

    矢作(COO):

    株式会社バイオフィリア創業者/取締役の矢作です。よろしくお願いします。

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    矢作 裕之 | YAHAGI Hiroyuki

    株式会社バイオフィリア 創業者/取締役COO

    1989年生まれ。東京大学大学院卒。エンジニアとして、日本オラクル株式会社にてシステム開発に従事した後、株式会社バイオフィリアを共同創業。マーケティング・CRM・クリエイティブ・システムを管掌。エンジニア経験を活かしカートシステム・マーケツール・分析ツールまでを独自開発、マーケターとして3年半でココグルメを15万人超のサービスへと成長させる。シェアハウスで猫のロンとの暮らしや、岩橋との出会い、バイオフィリア創業を経て愛犬愛猫家に。

    矢作(COO):

    バイオフィリアは、総合栄養食・獣医師監修の冷凍タイプの愛犬用フレッシュペットフード「ココグルメ」や、愛猫用フレッシュペットフード「ミャオグルメ」を開発・販売するD2Cスタートアップ企業です。

    (編注:以下、「ココグルメ」を前提にインタビューを続けます。)

    法律上、ペットフードは雑貨、ペットは物として扱われてしまっていることもあってか、ペットフード事業者はこれまで、それを前提に商品を開発してきたように感じます。

    しかし近年、ペットは家族同然と考える飼い主さまが増えてきました。それならばペットフードも、従来のドライなものだけではなく、もっと品質が高く、おいしいものが必要。そう考えたのがココグルメを開発したきっかけです。

    バイオフィリアでは、レシピの研究や食材選び、品質管理などの商品企画は全て自社で行っています。ちなみに弊社では愛犬・愛猫と同伴出社できるのですが、オフィスにいるワンちゃんたちが新商品の試食をしてくれるんです(笑)。

    ── 味にもこだわっているとのことですが、犬がおいしく食べているかどうかはどのように判断するのでしょうか。

    矢作(COO):

    食べ始めてから食べ終わるまでの時間や、完食率といったデータを取得したりABテストを実施したりしてはいますが、そんなことをするまでもなく、喜んでいるかどうかは一目瞭然でわかりますよ(笑)。飼い主の方々からも、「ココグルメを初めて食べたらしっぽをブンブン振り回しはじめた」「箱から取り出しただけで寄ってくる」「お皿によそっている時点で既にはしゃいでいる」といった感想をいただいています。

    飼い主さまにとって最大の喜びは愛犬とコミュニケーションを取ることですし、愛犬にとってもおいしいごはんが食べられるのは幸せなはずです。ココグルメを通して、愛犬と飼い主さまにそういった体験を提供していきたいですね。」

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    取材にも社員犬(社員の愛犬)が同席してくれました

    強みは顧客の声を聞いた高頻度リニューアル

    ── 商品の強みを教えてください。

    矢作(COO):

    バイオフィリアの強みは「常に商品の改善をし続けている」ことです。ココグルメは2019年に販売を開始しましたが、すでに4年で8回のリニューアルを実施しています。

    従来のドライフードでは、10〜20年間レシピが変わらないなんてことは珍しくありません。そもそも人間が食べるわけではないということもあって味よりも、必要な栄養が摂れることを重視して作られてきました。その方が製造効率もいいですからね。

    しかし近年、ペット栄養学の研究が進み、フレッシュペットフードの健康上のメリットが報告されるようになってきました。バイオフィリアはそういった情報を参照しながら、より良い商品へとアップデートし続けているんです。味を中心に、食材の鮮度や使用する部位、調理の工程などを調整し、愛犬にとってより良い食事体験が提供できるようにこだわっています。

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    ── 商品のアップデートには顧客からのフィードバックも大事かと思います。どのように声を拾っているのでしょうか。

    矢作(COO):

    バイオフィリアでは「ごはん開発部」という約500人のお客さまが所属するコミュニティを運営していて、この方々にモニターを依頼し、レシピ開発を進めています。オフィスに来ていただいてお話を伺うこともありますし、メールやLINE、オンラインでコミュニケーションをとることもあります。

    ── ココグルメのマーケティングはどのように行っていますか?

    矢作(COO):

    ウェブ広告が中心ですが、2023年にはCMも作成しました。またオフラインイベントで実際に食べていただくことも重要視しています。まだまだフレッシュペットフードやココグルメの認知度は低いですし、ココグルメはワンちゃんに1回食べてもらえば、絶対に気に入っていただける自信がありますからね。

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    矢作(COO):

    そもそも、飼い主の方々がココグルメを手にとるきっかけのバリエーションは、実はそんなに多くありません。というのも、ドックフードは1回買ったら同じものをずっと買い続ける方が多いからです。しかし愛犬が味に飽きたり病気になったりすると、それまで食べていたフードを口にしなくなることがある。僕たちとしては、そういったタイミングでココグルメを知っていただけるように、頑張っています。

    既存の金融ではスタートアップの成長性が評価しづらい

    ── ココグルメのことがわかってきました。ここからはCEOの岩橋さんも交え、Yoii Fuelのご利用について聞かせてください。そもそもRBFという資金調達方法はご存知でしたか?

    矢作(COO):

    正直に言うと、私は「聞いたことがある」程度の認識で、詳しく調べたことはありませんでした。というのも、「ファクタリングやRBFを使っていると取引先から不安に思われるのでは」という先入観があったのです。それでRBFについて調べることもあまりしていませんでした。Yoii社からお話を聞いているうちに、その不安は結局払拭されたんですけどね。

    岩橋(CEO):

    バイオフィリア代表の岩橋です。よろしくお願いします。

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    岩橋 洸太 | IWAHASHI Kota

    株式会社バイオフィリア 創業者/代表取締役CEO

    1989年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、SMBC日興証券にて未上場企業の上場準備、支援業務(公開引受業務)に従事。メイン担当者として IPO3件、 市場変更1件の実績。退社後2017 年株式会社バイオフィリアを創業。ペット領域で複数事業を立ち上げ、2019年6月にフレッシュドッグフードブランド「ココグルメ」を開発・提供。愛犬はミニチュアダックスフンドのリヴ(享年15歳)、ぴの(享年14歳)、愛猫は元保護猫のちち丸、ちびちび、ぱん。

    岩橋(CEO):

    私は金融業界出身ということもあって、何十年も銀行のビジネスモデルが変わらないことを不思議に感じていました。不満というよりも、もっと新しいことを試してもいいんじゃないかと思っていたんです。特に既存の枠組みでは、スタートアップ企業の事業における成長性やユニット・エコノミクスなどを正しく評価してもらうことが難しいと感じています。

    他方でYoii FuelのようなRBFは、それらをしっかりと評価に組み込んだ金融手法ですよね。これぞ金融としてあるべき姿だなと思って、非常にポジティブなイメージを抱いていました。

    ── バイオフィリアではどのような資金調達方法を利用していますか?

    矢作(COO):

    自己資本以外では、主に銀行借入です。ベンチャーキャピタルからの資金調達も実施しています。

    ── 既存の資金調達手法に加え、Yoii Fuelをご利用いただいた理由を教えてください。

    矢作(COO):

    我々のような仕入販売モデルのビジネスでは先に支払いが必要になるため、運転資金の確保は重要な経営課題です。そこでまずは銀行借入を検討しますよね。ただスタートアップ企業は取引規模が急拡大する割に、黒字というわけでもなければ過去の返済実績もないので、必ずしも金融機関が十分にお金を貸してくれるわけでもないんです。実際、ビジネスは順調で取引規模も拡大しているものの、資金繰りの悪化によって黒字倒産したD2C企業の話も耳にしています。

    かといってベンチャーキャピタルからの投資資金は、成長のために用いることが期待されています。もちろん広告費などにも資金は投下しますが、基本的には次のブランド開発やチャネル開拓など、新しいことへの投資が中心。運転資金には使いにくいというのが正直なところです。

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    矢作(COO):

    このままでは運転資金が成長の足枷になってしまう。どうしようかと思っていたときに、株主であるベンチャーキャピタルからYoii Fuelを紹介されて、「これいいじゃん!」と感じたんです。

    ── RBFを提供している会社は数社あると思いますが、その中からYoii Fuelを選んだ理由を教えてください。

    矢作(COO):

    ずばり、スピード感ですね。相談してから着金まで2週間で済んだのには驚きました。

    これが銀行借入だったら、相談から着金までに2ヵ月はかかっていたと思います。またベンチャーキャピタルも、最近だと生成AIなどのテーマに注力している印象がありますし、どちらにせよ運転資金のために投資はしないので、彼らから投資を受けるのは難しかったでしょう。

    早い、簡単、そして合理的な手数料

    ── Yoii Fuelを利用した感想を教えてください。

    岩橋(CEO):

    まずバイオフィリアのサービスやビジネスモデルをしっかり理解していただけたのが嬉しかったです。銀行融資ですと、過去の実績が中心に見られ、事業の中身や成長性は判断材料とされづらい。他方でYoii Fuelの担当者には、バイオフィリアのビジネスモデルや成長性、将来性などを理解していただけました。スタートアップ企業やビジネスモデル自体に明るかったので、それが早期の資金調達に繋がっているのではないかと思っています。

    矢作(COO):

    特段新しい資料を用意しなくてよかったという点にも助けられました。元々ベンチャーキャピタル向けの資料などは用意していたので、それをほとんど変える必要なく、Yoii Fuelのサービス画面にアップロードするだけで資料の提出が終わったんです。「これだけでいいの!?」と驚いたのを覚えています。

    岩橋(CEO):

    手数料も合理的な範囲だと思いますし……

    ── そのお話を詳しく聞かせてください。Yoii Fuelは資金調達額の数%〜十数%の手数料を利用企業からいただいています。しかし、銀行借入は数%、ベンチャーキャピタルからの資金調達には直接手数料がかかるわけではないことと比較すると「高い」と感じる方も少なくないようなのです。

    岩橋(CEO):

    確かに手数料率だけみると、高いと感じるかもしれません。

    しかし仮にベンチャーキャピタルから調達するとなると、手間と時間が多くかかることに加え、求められるリターンを考慮すると資本コストはそれ以上に高くなります。そう考えるとYoii Fuelの手数料は決して高くはないでしょう。

    また今の我々のフェーズでは、将来の成長性が見えているため、利益よりも投資のためのキャッシュのほうが重要です。そういった意味で、将来性を評価いただく代わりにその分の対価を今払うことは何ら違和感はありません。

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    岩橋(CEO):

    また先述したように、既存の金融機関が取っていないリスクを取っているという点に鑑みれば、Yoii Fuelは妥当な条件設定をしていると感じています。ちゃんとした金融サービスにはその分手数料という対価が必要になるものですからね。元々金融機関にいた立場としても、素晴らしいサービスだなと思っています。

    ── ありがとうございます。そう言っていただけて我々も嬉しいです。

    岩橋(CEO):

    よかったです(笑)。

    ── 今後もバイオフィリアの事業が成長するにつれ運転資金が必要になってくるかと思います。またYoii Fuelは使っていただけそうでしょうか。

    矢作(COO):

    もちろんです。

    ── ありがとうございます。最後に、バイオフィリアの今後の展望を教えてください。

    矢作(COO):

    現在は愛犬用のココグルメのサービス開発が先行しているので、今後は愛猫用のミャオグルメの開発に注力していく予定です。またオンラインだけでなく、オフラインのマーケティングにも力を入れ、日本全国どこにいる飼い主さまと愛犬・愛猫に、バイオフィリアのフレッシュペットフードを届けていきたいですね。

    ── 岩橋さん、矢作さん、本日はありがとうございました。

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