7 February 2025
現代においてスタートアップの資金調達方法は多様化しています。Yoii Fuelを始めとするレベニュー・ベースド・ファイナンス(以下「RBF」)もその一つです。とはいえ資金調達方法とは、互いに排斥するものではなく、組み合わせて上手く使うもの。株式会社SEVENRICH Accountingのファイナンス事業部は、スタートアップによる銀行からの借入を支援する専門部隊ですが、必要に応じて顧客にYoiiを紹介し、Yoiiも同社を紹介しています。
銀行からの借入を支援する組織がRBFの活用を勧めるケースやビジネスモデルにはどんなケースがあるのか。銀行借入とRBFはどのように使い分けるべきなのか。SEVENRICHの溪(たに)さんに、Yoiiの田口が聞きました。
(左から)SEVENRICHの溪さんとYoiiの田口
田口(Yoii):
最初に、溪さんが所属するファイナンス事業部について教えてください。
溪(SEVENRICH):
SEVENRICH GROUPは会計事務所を祖業として、現在は飲食や不動産、システム開発、人材など、40超の事業を運営しています。私が所属する株式会社SEVENRICH Accounting(以下「SEVENRICH」)ファイナンス事業部もその一つです。
ファイナンス事業部は2つの役割を担っています。スタートアップの補助金申請のご支援と、銀行からの借入のご支援です。
私は主に後者を担当しています。具体的には、銀行向けの資料や収支計画の作成支援、電話のやりとり、面談への同席などです。クライアントの調達金額を最大化するために、あらゆることに対応するのが仕事ですね。
溪 晃太朗 | Tani Kotaro
株式会社SEVENRICH Accounting ファイナンス事業部
慶應義塾大学卒業後、メガバンクに4年半勤務。主に法人向け融資営業を経験後、 2023年、SEVENRICH Accounting融資事業部へジョイン。 現在は金融機関とクライアントを繋ぎ融資調達をサポートする業務に従事。 大切にしていることは、スピード感をもって仕事をすること。 座右の銘は、不退転。 強みは、瞬発力。
田口(Yoii):
一気通貫でスタートアップを支援しているんですね。SEVENRICHの強みを教えてください。
溪(SEVENRICH):
まずはスタートアップを得意とする銀行担当者とのネットワークが挙げられます。スタートアップへの融資では、若い担当者や経験の浅い方が担当となるケースは少なくありません。そうすると場合によっては、行内で適切な稟議が上げられなかったり、上手く案件を進められなかったりという事態が生じかねないのです。
その点我々は、年間100件以上の支援実績を活かし、経験豊富な銀行担当者を紹介することで、より良い融資条件を引き出します。
また我々は融資に関する豊富なノウハウを保有しています。年間100件以上のサポートを実施してきた実績に加え、そもそもファイナンス事業部のメンバーの半数以上が銀行出身者なのです。融資は事前の準備段階で、資金使途や返済計画などのロジックを詰めておくことが非常に重要となりますが、我々は銀行側のロジックを理解しているため、融資交渉に適切に臨む体制を築けているというわけですね。
最後に、スタートアップが割くリソースを最小限にしている点です。新規融資には10〜20時間ほどは工数がかかってしまうものですが、それを我々が肩代わりさせていただき、その分スタートアップは本業に集中できます。完全成果報酬なので、初期コストの負担なく依頼いただける点も特徴と言えるでしょう。
田口(Yoii):
それでは、RBFを絡めた話も聞かせてください。SEVENRICHとYoiiは度々お客さまを紹介しあっていますよね。私は両社は補完関係になれていると考えています。
田口 慧 | TAGUCHI Kei
株式会社Yoii 事業責任者
新卒でみずほ銀行に入行、中小企業向けの融資業務に従事。
2016年よりデロイトトーマツコンサルティングの戦略部門(モニターデロイト)にて大企業における成長戦略・事業戦略の策定やオープンイノベーションの創出支援などのコンサルティング業務に従事。
2023年2月よりYoiiに参画し、事業開発をリード。
溪(SEVENRICH):
そうですね。実際、Yoii Fuelを利用し、かつSEVENRICHが融資支援をしたあるスタートアップは、両者の資金を用いて事業にブーストをかけて成長していますよね。今期は大きな黒字計上を見込んでいて、金融機関からさらなる借入が期待できそうで、良い循環になっていると感じています。
また別のある会社は、一時期事業が伸び悩んでいたのですが、融資とRBFで資金を調達し、その資金を活用している間に事業を立て直し、新たな活路を見出していました。返済が長期である融資と、短期的なRBFを組み合わせたからこそできた結果だと思います。
田口(Yoii):
そうですね。嬉しい限りです。
田口(Yoii):
改めて、スタートアップの資金調達手段が多様化している中で、RBFをどのように位置付けているか、教えてください。
溪(SEVENRICH):
まず、金融機関からの融資が難しくても、RBFなら資金調達できる場面があると認識しています。また、銀行融資を一通り終えた段階で、もう少し追加でキャッシュを厚くしておきたいという場面でも有効だと考えています。我々もこのタイミングでYoii Fuelを紹介するケースは多いですね。
田口(Yoii):
ありがとうございます。逆に、融資に興味がある会社を、YoiiからSEVENRICHを紹介するケースも少なくありません。いつもお世話になっていて、助かっています。
田口(Yoii):
RBFは融資と融資の間の「繋ぎ」として利用されるケースも多いんです。それについてはどのように感じていますか?
溪(SEVENRICH):
我々の支援先でもそういうケースはありました。追加で融資を受けたいのだけれども「もう少し経てば決算作業が終わり、金融機関により良い実績を提示できる」という場面はどうしても発生してしまいます。しばらくはRBFを活用し、決算が確定したら改めて銀行に相談に行く、という使い方はいいのではないでしょうか。
田口(Yoii):
なるほど。あとは、先程お話されていたように、銀行融資で調達した後にもう少し追加で調達したいときなどにYoiiを利用するお客さまもいますよね。
溪(SEVENRICH):
金融機関は、多少保守的に融資金額を決めるので、スタートアップ側からすれば「もうちょっと欲しい」と感じる場面は少なくないように感じます。そこで手元の資金を厚くするためにRBFを活用するのもいい手段だと思いますね。
田口(Yoii):
一般的に、RBFの手数料は銀行融資と比較して高い傾向にあります。その点に関するスタートアップの反応はいかがでしょうか?
溪(SEVENRICH):
RBFの手数料は比較的高く、その点を懸念する経営者もお会いしたことはあります。とはいえ、**金融機関からこれ以上借りられないという状況下で、プラスアルファで資金を積み増そうとすれば、リスク分の上乗せが必要になります。**その旨を説明すると、納得いただけるケースが多いですね。
田口(Yoii):
他にも、RBFが有効であると感じる場面があれば教えてください。
溪(SEVENRICH):
例えば、金融機関から設備資金のために借入をした直後に、運転資金も借りようとしたら「借りたばかりでしょう」「なんでその時に一緒に借りなかったの?」と断られるケースは少なくありません。特に保証協会付の融資だと、連続で借りに来るのを少し嫌がる傾向にあったりするようです。そういった際にはRBFを利用するのはいいアイディアかもしれませんね。
田口(Yoii):
RBFは、SEVENRICHのお客さまの内、どのような企業にマッチしそうでしょうか。
溪(SEVENRICH):
SaaSやサブスクリプションといった、将来の売上が安定して見込めるビジネスモデルを採用している企業が、広告やユーザー獲得のためのグロース資金として投下するのにRBFは向いていると感じます。また人材紹介のように、入金サイトが長い業種にもマッチするでしょう。
と私は思っているのですが、実際にはYoiiのお客さまはどんな業種の企業が多いのですか?
田口(Yoii):
溪さんのご指摘のように、多いのはサブスクリプションや会員制ビジネスなど、継続的な売上基盤のあるビジネスです。また同様のニュアンスで、安定的な顧客基盤があるtoC、いわゆるD2Cを営んでいる会社も少なくありません。過去のトレンドから将来を予測しやすく、かつ広告などの先行投資が必要になりますからね。
溪(SEVENRICH):
スピード感をもって、すぐに資金調達をしたいという場面でも、RBFは優先順位が高いように感じます。
逆に、2〜3ヵ月の時間的猶予があったり、利率を少しでも下げたりしたいという事情があれば、銀行融資の方がいいというケースが多いのではないでしょうか。一般的には金融機関からの融資の方が返済期間が長期に渡って月々の返済負担が低くなるため、その面でも融資がいいかもしれません。
田口(Yoii):
Yoii Fuelは原則として翌々から毎月均等の支払いとなるので、余力があるなら金融機関を優先にしていいと思います。
溪(SEVENRICH):
そうですね。もちろん、ケースバイケースで必要に応じた使い分けが重要です。
田口(Yoii):
ところで、以前ユナイテッド株式会社の投資部門の担当者と鼎談したんです。その際ベンチャーキャピタルによっては「XX円まで資金が集まったら追加でXXX円投資する」という条件を付すケースがある、という話が挙がりました。その埋め合わせとしてRBFを利用することがあるそうです。
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溪(SEVENRICH):
なるほど。現時点では遭遇したことのないケースですが、融資でも似たようなケースはありますし、今後必要があれば検討の余地はありますね。
田口(Yoii):
また、決算のタイミングでキャッシュを厚くしておきたいニーズでRBFを利用されるケースもあります。
溪(SEVENRICH):
確かにそのケースもありますね。借りられるなら借りておくことも、事業運営上は大切なことだと思います。
田口(Yoii):
最後に、銀行融資またはRBFで資金調達を検討している方にアドバイスをお願いします。
溪(SEVENRICH):
資金調達は、立て直すのが難しいほど財務が痛んでから銀行に相談しようとしても、本当に苦しいんです。そもそも借りられないかもしれませんし、条件も悪くなってしまう。業績がいい状態のときにこそ、早めに資金調達の検討をおすすめします。
また、そもそも借入自体に不安をもつ経営者も少なくありませんが、現在はまだまだ金利が低いですし、無保証で借りられるケースも少なくありません。過度に心配しすぎずに検討いただくのがいいのではないでしょうか。
リスクを低く抑えて実施できる資金調達の一つが融資です。事業を伸ばすためにも、ぜひ金融機関からの借入を上手く利用していただきたいですね。SEVENRICHでは無料で相談を受け付けています。まずはお気軽にご相談ください。
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田口(Yoii):
引き続き、連携してスタートアップを支援させてください。溪さん、本日はありがとうございました。
溪(SEVENRICH):
ありがとうございました。
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