シリーズAとは?概要や資金調達の際のポイントを徹底解説

    30 July 2024

    シリーズAとは?概要や資金調達の際のポイントを徹底解説

    アーリーフェーズのスタートアップ経営者や、これから起業することを考えている人にとって、将来的に企業の成長を加速させるために必要となるのが、投資家や金融機関からの資金調達です。自社の状況やタイミングに適した調達を行うことが重要になります。

    そこで今回は、シリーズAラウンドにおける資金調達の概要とそのポイントについてまとめました。資金調達を検討する際に、ぜひご活用ください。


     

     こんな方におすすめ


     

     この記事のサマリ


    1. シリーズAの概要

    シリーズAとは?

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    ※Yoii作成

    シリーズAとはスタートアップにおける資金調達ラウンドの一つの段階のことをいいます。

    ここでの資金調達ラウンド(投資ラウンドともいう)とは、企業の成長フェーズを指しています。これらの各ラウンドは、スタートアップが資金調達を検討する際に、目安となる金額やタイミングを判断するための指標の一つとして用いられています。

    たいていの場合、シリーズAにおけるスタートアップはすでに製品の提供を開始しており、売上やユーザーを拡大・増加させることが最も優先して取り組むべき事項になります。また、ここで特に重要なマイルストーンとなるのがPMFの実現*です。自社の製品・サービスが求められる市場を明確にし、顧客に製品・サービスが売れている状態を創出・維持していく必要があります。

    (*PMF…Product Market Fitの略。カスタマーの課題を満足させる製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態を指す。)

    スタートアップの資金調達ラウンドに関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。資金調達に関する理解も深まりますので、ぜひご覧ください。

    スタートアップにおける資金調達ラウンドの解説

    2. シリーズAでの資金調達

    つぎに、シリーズAにおける一般的な調達額や必要となる期間、調達の際に工夫すべきポイントについて詳しく解説します。

    調達金額

    シリーズAにおける資金調達額としては、1億円前後〜十数億円となることが一般的です。資金調達額は業種や企業の状況によって変動し、さらには調達時の市況や資金調達環境にも影響を受けます。参考として、2020年から2023年でのシリーズA調達における調達額は約1.15億円前後を推移しています。( INITIAL, 2023年スタートアップ調達トレンド より引用)

    調達にかかる期間・調達方法

    シリーズAの調達にかかる期間としては、数ヶ月から半年程度となることが一般的です。主な調達手法としては、VC(ベンチャーキャピタル)やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)からの出資となります。近年では、エクイティ・ファイナンスに加えて日本政策金融公庫といった金融機関からの融資によるデットファイナンスも資金調達ラウンドと一緒に実施される事例が見られるようになりました。以下は調達手法ごとの一般的な所要時間です。

    一般的な所要期間
    VC, CVCからの株式調達1〜3ヶ月前後
    銀行借入1〜3ヶ月前後
    日本政策金融公庫1ヶ月前後
    地方自治体などの制度融資1ヶ月前後

    ※Yoii調べ

    シリーズAでのタイミングにおける資金調達では、VCからの調達に加えて、これらの手段を複数にわたって活用することが多く、合計して半年前後の期間を要することになります。資金調達手段をそれぞれ詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。

    エクイティファイナンスについて詳しく知る

    デットファイナンスについて詳しく知る

    3. 資金調達のポイント

    ここで、資金調達のポイントについて3点解説します。スタートアップの重要事項である資金調達を成功させるために以下の点に注意しましょう。

    事業計画・資本政策を入念に設計する

    シリーズAでの資金調達には、自社の事業計画と資本政策を入念に設計してから臨むことが重要です。これらは自社の経営方針に必要なだけではなく、調達においてVCをはじめとした投資家とのスムーズな話し合いを実現するための議論材料として重要になります。

    事業計画に基づいて適切な企業価値(バリュエーション)や調達金額を設定することができれば、資金調達の金額や手段を決めやすくなり、円滑に調達が行えるようになります。そのためにも、自社の事業計画や資本政策を入念に策定し、投資家に対して正しく説明することが大切です。

    資本政策とは、事業を運営するためのファイナンス(株価、株式、運転資金など)に関する方針のことです。資本政策の設計の仕方については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。資本政策の概要 〜資金調達のために設計すべきポイントを解説〜

    資金調達をサポートしてくれる人を確保する

    資本政策の設計や投資家との交渉をCEO/COOが全て担うのは非常に大変な作業になります。調達の交渉に労力を割きすぎると、経営のリソースが不足する場合もあります。そこで、資金調達に関する業務について、過去に調達業務の経験がある人材や、財務知識に関する専門性が高い人材を事前に用意しておくことが重要です。

    社内でCFOや財務部長を採用できるのが理想的ではありますが、実際のシリーズAにおけるスタートアップではそのような人材を確保することが難しい場合も多くあります。そのような場合は、外部CFOを業務委託で手配するといった対応も考えられます。

    日頃から投資家や金融機関との繋がりを作る

    調達ニーズが発生してから投資家や金融機関を探し始めると時間がかかります。また、シリーズAのスタートアップでは、手元の資金が少ない中で、想定外のコストが発生し、資金繰りが急激に苦しくなる可能性も十分に考えられます。日頃からVCをはじめとした投資家や金融機関と繋がりを作っておき、資金ニーズが発生したらすぐ相談できるようにしておくことが大切です。また、過去に調達を行ったVCがあれば、追加出資の検討や他のVCの紹介をお願いしたり、投資家や金融機関が集まるイベントに参加したりするなど、積極的に繋がりを作り、活用することが重要です。

    4. 実際の調達事例を紹介

    ①株式会社Sanu

    セカンドホーム・サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を提供する株式会社Sanuは、シリーズAラウンドの1stクローズとして、約10億円の調達を実施後、シリーズAラウンド全体として総額50億円の調達を完了させています。

    ※Sanu社 プレスリリースより引用 “SANU、70億円の追加資金調達を実行。累積調達金額は120億円へ。

    セカンドホームサービスを提供する同社は、その事業の特性上、ケネディクス株式会社やヒューリック株式会社など不動産に強いデベロッパー企業から投資を受けていることが特徴です。

    また同社のような、1つのラウンド内で複数回に分けた調達を行うケースも近年増えてきています。同社はシリーズAラウンド以降にも、70億円の追加調達を行っており、2024年4月時点で累積120億円の調達を行っています。デットとエクイティの両方を利用して調達を行っており、弊社Yoiiも支援先として加わっています。

    ②株式会社immedio

    "インバウンド商談の最大化"を掲げる株式会社immedioは、DNX Venturesをリード投資家として計3.5億円のシリーズA調達を実施しています。

    ※PRtimesより引用,"インバウンド商談の最大化"を掲げるimmedio DNX Venturesをリードとして3.5億円のシリーズA調達を実施

    同社は、シードラウンドにおいてもDNX Ventures、Sansan株式会社などから計1.5億円の調達を実施しており、既存投資家からの追加出資を受ける形で、シリーズAラウンドの調達を行っています。このようにシリーズAの調達においては、前回ラウンドでのリード投資家をはじめとした既存の投資家などから、追加で出資を受けるケースもよくあります。既存投資家は、出資先スタートアップのこれまでの事業の成長と進捗を見ているので追加出資はしっかり成長をしている証と言えるかもしれません。

    *ファンド方針、ファンドサイズ、ファンドのドライパウダーの有無など諸条件があるので、追加出資が行われないことが成長していないというわけではないことにご留意ください。

    5. RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)という調達の選択肢

    ここまで、資金調達の手法としてはエクイティやそれに伴うデットが主な選択肢になるとご紹介しました。しかしエクイティファイナンスにおいては、株式の過剰な希薄化や、リードVCを見つけるまでに時間を要する可能性があるといったデメリットが存在します。デットファイナンスにおいても、調達コストが高い、業績赤字だと評価が厳しい、ITサービスだと担保になる有形資産が少ないといった理由で、デットファイナンスのハードルが高い場合が多くあります。

    それらのリスクを解消する新しい資金調達手段としてRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)が注目されています。

    RBFとは、スタートアップ向けの新しい資金調達手段の1つで、過去の売上データや現在の財務状況から将来の収益を予測し、その一部を利用する調達手法です。RBFの特徴として、①希薄化一切なし、②保証や担保の必要なし、③手間と時間をかけずに調達可能といったメリットがあります。

    他の調達手段と比較すると以下のような違いがあります。

    このようなRBFという選択肢も上手く活用しながら調達を行うことが、企業の成長を加速させるために重要になります。RBFについて詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。

    まとめ

    今回は資金調達ラウンドの一つであるシリーズAについてまとめました。シリーズAでの調達にあたっては、市況や自社の状況を十分に理解した上で、事前に入念な準備や人材の確保、コネクションの創出などを行い、適切な資金調達手法を選ぶことが重要です。エクイティファイナンスや、RBFのようなデットファイナンスを上手に活用しながら調達を行いましょう。

    また、上記でご紹介したYoii FuelのRBFについてより詳しく知りたい方は、まずは下記から資料をダウンロードしてみてください。またYoii Fuelであなたの会社がいくら調達できるか知りたい方は、下のシミュレーターから1分で簡単に試算できます。気軽にお試しください。

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