13 December 2023
ベンチャー・スタートアップ向けデットファイナンスの一覧
1. 創業融資
2. RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス)
3. ファクタリング
4. コーポレートBNPL(Buy Now, Pay Later):
5. ビジネスローン
6. ベンチャーデット(株式有り)
7. ベンチャーデット(株式無し)
8. 銀行融資(保証協会付き)
9. 社債型クラウドファンディング
2023年は昨年策定されたスタートアップ5ヶ年計画に基づき各種税制優遇措置の法案が具体的に進行するなど、ベンチャー・スタートアップ企業を取り巻く市況の変化が大きい1年となりました。
急成長スタートアップがデットファイナンスによる大型の資金調達リリースを発表するといった、エクイティに限らない調達手段を具体的に検討する動きも多く見られ、デットによる資金調達がスタートアップにとっても一般的なものとして認知されるようになってきています。また、大手金融機関が軒並みスタートアップを対象としたデットファンドを創設するなど、資金の出し手側の需要も高まってきています。
とはいえ、急成長を目指すスタートアップの資金調達ニーズに最適化されたデットファイナンスサービスはまだまだ多くない状態です。
今回の記事では、特に「スタートアップ・ベンチャー向け」を明言している・すでに提供実績が公開されているサービス・提供事業者をYoii独自に調査しマップを作成しました。各手段・手法について、以下記事内で解説します。※
創業融資とは、主に日本政策金公庫が提供する融資制度で、新規に事業を立ち上げるために必要な資金を調達できる手段です。(上記以外に、各都道府県・市区町村が用意する「制度融資」を活用した創業融資も存在します)
まだ売上実績の無い創業初期やシード期で利用可能です。
原則、株式の希薄化なし、無担保・無保証で資金調達でき、返済期間も長い点が大きなメリットである一方で、利用できる時期が限られていますが、特段のデメリットはありません。
・主な提供者・提供サービス:日本政策金融公庫
RBFとは、企業の ”将来発生しうる” 売上債権の一部を譲渡することで資金調達できる手段です。過去の財務データ・取引データなどから将来の売上・収益を予測し、その一部に該当する金額を調達できます。
一定期間の売上実績があれば申込できるため、アーリーフェーズから利用が可能です。
株式の希薄化なし・無担保・無保証であり、少ない手間でスピーディーに資金調達でき、赤字・債務超過という形式的な要件で申し込めないということはなく、売上実績次第では大きな金額も調達できるメリットがある一方で、リスクに応じた相応の手数料が掛かる点がデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:Yoii Fuel / Flex Capital / RBF by PAYTODAY
ファクタリングとは、企業の ”確定” した売掛債権を譲渡することで資金調達できる手段です。売掛金の証明となる請求書や発注書、納品書などをファクタリング会社に提出し、その額面から手数料を差し引いた金額が入金されます。
将来の入金が確定している売上債権をベースとするため、アーリーフェーズからミドルフェーズ以降まで幅広いステージで利用されます。
迅速に現金化して資金調達できるメリットがある一方で、調達額は売上債権の金額に限定される点やリスクに応じた相応の手数料やごく短期の資金調達になる点がデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:PAYTODAY / マネーフォワードトランザクションファイナンス for Startups
BNPLとは、商品やサービスを購入する際にかかる費用を分割して支払うことができるサービスで、購入費用の前借りに近い資金調達手段です。
分割可能な回数も短期間(数か月間)に設定し、リスクを抑制しているため、アーリーフェーズからミドルフェーズ以降まで幅広いステージで利用されます。
支払いを平準化することで資金繰りを安定化・改善できるメリットがある一方で、資金使途が限定される(仕入や広告費用等の支払いのみ。利用可能なサービスも限定されていることもあり)点がデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:AD YELL / STOCK YELL / Biz Growth β版
ビジネスローンとは、銀行や信販・クレジットカード会社、消費者金融などが提供する小規模事業向けの融資です。主に売上実績の小さいシード期に利用されます。
資金調達までに掛かるスピードが早い点や融資枠の中で自由に借入・返済ができるなど柔軟な利用ができるメリットがある一方で、調達額の上限が少額(最大1,000万円程)な点や金利が高くなる点がデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:GMOあおぞらネット銀行融資(利用)枠型ビジネスローン「あんしんワイド」
ベンチャーデットとは、転換社債や新株予約権付融資等、エクイティとデット両方の性格を持った金融商品の総称です。直近大手金融機関が立ち上げているベンチャーデットファンドの多くはこの仕組みを採用しています。
一般的にはミドル以降のスタートアップに提供される資金調達手段であり、株式の希薄化をできるだけ抑えつつ成長資金を確保することが可能です。一方、エクイティファイナンスほどではないものの、金利と株式報酬両方が必要で調達コストが多額にかかることがデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:あおぞら企業投資、STARTUP DEBT FUND、JA三井リース、静岡銀行、横浜銀行、きらぼし銀行
株式発行要件が無く、一般的な融資に近い形での資金調達手段です。
資金の出し手が与信業務に特化した金融機関(既存顧客の預金からの融資ではない)のため、一般的な融資では対応が難しいリスクが高い状況での資金提供が可能というメリットがある一方、回収リスクが高い状態での融資となるため、通常の銀行借入比較では高金利となることがあります。
資金提供が可能なシーンの幅が広く、他に出し手がいない・将来に大きな着金が確実視されている状況における繋ぎ資金として有効といえます。
・主な提供者・提供サービス:大和ブルーフィナンシャル、Flex Capital、トパーズ・キャピタル
銀行融資(保証協会付き)とは、貸付金融機関が融資の返済リスクを軽減するために、保証協会による保証を受けて行われる融資です。
保証協会が融資の返済を保証するため、銀行も融資がしやすくなるものの、ある程度の売上実績が積みあがっているアーリーフェーズ以降の企業が主に利用可能です。
比較的アーリーフェーズから利用できる銀行融資というメリットがある一方で、調達額の上限が設定されている点や実行までに期間が長い・コストが高い(金融機関と保証協会の双方での審査、金利・手数料の支払いが発生)点はデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:都市銀行、地方銀行、信用金庫 等
社債型クラウドファンディングとは、銀行等の金融機関を通じて発行される社債とは異なり、社債型クラウドファンディングサービスを通じて社債を発行し、自社を応援する顧客やファン層から資金調達できる手段です。
ファン層の取り込みが見込まれる企業が利用可能な手段のため、PMFして市場を拡大していくミドル〜レイターフェーズのスタートアップが特に相性が良い手段です。
金融機関による与信的な要素だけでなく、ファンによる応援という異なる要素によって評価され資金調達できることや数年後の一括返済という長期性の資金調達ができる点がメリットです。一方で相応の信用力や業績がないと活用できないため、使える企業が限定されることや期限に一括で多額の返済をする必要があり返済時の資金繰りを大きく圧迫する可能性がある点がデメリットです。
・主な提供者・提供サービス:Siiibo証券
上記のほか、トランザクションレンディングや貸付型クラウドファンディングといった調達手段等も存在します。
今後デットファイナンスはより大きな盛り上がりが予見されますが、2023年の総括としてご参照いただけますと幸いです。
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「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短6営業日)に調達可能です。
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