23 August 2024
アーリーフェーズのスタートアップ経営者や、将来的に起業を検討している方にとって、資金調達を行うことは企業の成長にとって不可欠です。資金調達の際には、必ずピッチ(自社の事業のプレゼンテーション)の機会が設けられます。投資家や金融機関が求める情報を適切に伝えることが、資金調達成功の大きな鍵となります。
その中でも今回は、ベンチャーキャピタルに対してピッチを行う際のポイントについてまとめました。資金調達を検討する際に、ぜひご活用ください。
(なお、本記事ではシリーズA前後での資金調達を想定して解説します。)
こんな方におすすめ
この記事のサマリ
ピッチとは 「投資家や金融機関に対して行う、事業やプロダクトのプレゼンテーション」 のことを指します。投資する側であるベンチャーキャピタル(以下、VC)は、ピッチの内容を踏まえて、その企業が投資するに値するかをおおまかに判断します。その後、細かな審査や厳正な評価が下され、投資条件の検討や交渉の末に、投資が実行されるかの判断がなされます。
VCへのピッチで重要になるのは、 「相手が欲している情報を簡潔に、かつ効果的に伝えること」 です。入念にピッチ資料を準備し、限られた時間のなかで、VCから魅力的な投資案件だと判断されることがピッチをする上でのゴールとなります。
では、そのような効果的なピッチを行うためには、どのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。今回は、実際に国内VC5社から聞いた、ピッチで重要になるポイントについて以下で解説します。
ピッチで重要になる点をポイント別に分けて解説します。
業界やマーケットに関して記載すべき情報としては、以下の項目が挙げられます。
上記の項目のなかでも特に重要視されるのが、市場規模と顧客課題です。
市場規模に関しては、捉えている市場規模が大きいかどうか、かつ将来的な成長市場であるかどうかが重点的に評価されます。また、規模が限られた市場であっても、その中で大きなシェアが取れることを示すことができれば十分に評価されます。その場合は、経営チームの強みやケイパビリティなどを提示し、その根拠を補完する必要があることを覚えておきましょう。
また、顧客課題については、十分に顧客を理解できているか、当事者としてその課題をどう感じてきたのかに関して説明できるかどうかを評価されます。特に、VCなどの投資家が知り得ないような一次情報を多く説明できる場合は、さらに説得性が増し、高く評価されることが多いといえます。
プロダクト・企業情報に関して記載すべき情報としては、以下の項目が挙げられます。
上記の項目のなかでも特に重要視されるのが、トラクション、導入実績です。
トラクションとは、企業の財務状況や顧客の獲得状況のことを指し、VCは企業の事業成長の可能性を評価する上で、この指標を重要視します。ここでは、プロダクトに熱烈なファン顧客がいるかどうかが特に重要となります。また、顧客獲得までの仮説検証の過程において、自社の将来的な勝ち筋を定量的に示すことができるかどうかも評価の大きな分かれ目となります。
資金調達・資金使途に関して記載すべき情報としては、以下の項目が挙げられます。
上記の項目のなかでも特に重要視されるのが、次の調達までのマイルストーンです。
ここでは、事業計画、調達金額、次回調達までのマイルストーンにおいて整合性がとれているかが重要になります。また、それが単にトラクションだけの目標になっておらず、開発やマーケティングにおけるKPIや行動目標といった具体的なアクションにまで分解、整理されているかどうかが評価に大きく影響します。
VCから多く寄せられた意見として、デモ画面を見せながら競合サービスと比べた強みやUI/UXの違いを具体的に説明してほしいという声が多く挙げられました。VCは一つの企業評価に投じることができる時間に制約があり、VC自身でプロダクトを使用し、その詳細を把握することは難しい場合があります。そのため、できるだけピッチや質疑応答のなかでデモ画面を活用しながら、プロダクトの詳細を伝え切ることを意識しましょう。
VCへのピッチは、基本的に「ピッチ+質疑応答」という流れで進行し、ピッチに設けられる時間は10分〜30分程度であることが一般的です。ピッチの鉄則は「相手が欲している情報を簡潔に、かつ効果的に伝えること」ですので、いつでも10分以内でピッチの内容を端的に伝え切れるように準備をしておきましょう。
ピッチの後はVCとの質疑応答の時間が設けられます。質疑応答の際に確認したい内容として、以下のような回答が得られました。
ここで一つ押さえておきたいのは、VCからの調達のためにこれらの要素を意識して準備するのではなく、日頃から事業成長のために上記で挙げた点を意識しながら経営を行うことが重要であるということです。VCに対してそれらを定量的に示すことができれば、良い評価に繋がる可能性が高くなります。
ここまでVCへのピッチにおける、効果的な説明の仕方や資料の内容についてご紹介しました。一般的にVCからの調達は、スタートアップが事業を成長させる上で不可欠といえます。ただ他方で、このようなエクイティファイナンスは、株式が過剰に希薄化してしまうリスクや、調達までにかなりの時間と労力を要することで経営のリソースを奪われる可能性がある、といったデメリットも存在します。
そこで近年、スタートアップの新しい資金調達手段として、 RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンス) が注目されています。
RBFとは、過去の売上データや現在の財務状況から将来の収益を予測し、その一部を利用する調達手法です。RBFの特徴として、①希薄化一切なし、②保証や担保の必要なし、③手間と時間をかけずに調達可能といったメリットがあります。
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Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。
「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短6営業日)に調達可能です。
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