10 August 2023
スタートアップが成長していくために欠かせない資金調達では、株式や銀行融資での調達が一般的です。しかし、D2C(Direct to Consumer)企業がそれらの資金調達手段と相性が良いとは必ずしも言えず、課題を抱えている企業も多いでしょう。
前回の記事「D2C/ECのスタートアップが「RBF」と相性がいい3つの理由」では、D2C企業と相性の良い新たな資金調達手段として、レベニュー・ベースド・ファイナンス(以下、RBF)をご紹介しました。
今回はどのようなシーンでRBFを活用できるかを解説します。
D2C企業は、企画から生産・販売まで一貫して自社で行うため、卸売業者や販売代理店などの中間業者へのマージンが発生せず、高い収益性が確保できる特徴があります。また、顧客の購買データを直接取得できるため、マーケティングに活用できるメリットも存在します。
一方で、創業初期はブランドの認知・顧客獲得のためのマーケティング費用やECサイトの構築費用など、大きなコストが先行的に掛かります。さらに、企画から生産・販売まで一気通貫で行うため、幅広い分野の人材を抱える必要があり、人件費も嵩む可能性があります。
そのため、創業初期はキャッシュフローが赤字になる傾向があり、そのような状況下では銀行融資を受けることが一般的に難しくなります。また、株式での資金調達では、十分な売上実績が無い状況だと高いバリュエーション(企業価値)がつきづらく、株式の希薄化も大きくなってしまいます。
結果として、創業期のD2C企業は資金調達に対して慎重になるケースが散見され、資金調達自体を諦めている事例も多く存在するのが実態です。
そのような課題を解決する新たな資金調達手段として、近年注目されているのがRBFです。
RBFの利用方法として、売上拡大に繋がる成長資金の調達に活用することが最も有効的です。売上が拡大すれば、さらにより大きな資金を調達できるようになります。RBFには以下のような資金使途が考えられます。
①仕入れ資金
D2C企業は売上を伸ばすために、まずは仕入れを拡大して販売量を増やす必要があります。RBFで調達した資金を仕入れ資金として活用することで売上を拡大することができます。
②マーケティング資金
D2C企業はブランドの認知拡大、新規顧客の獲得に向けた広告宣伝等のマーケティング活動を継続的に実施していくことが必要です。RBFで得た資金をマーケティング活動へ投下することで、売上の拡大に繋がります。
③人材獲得資金
事業を拡大するためには、それを支える組織・体制の拡充も必要となります。RBFで得た資金を、営業やマーケティングなどに関わる人材採用・人件費として活用することで、売上の拡大に繋がります。
④プロダクト開発資金
D2C企業は、顧客と直接的な接点を持つためにECサイトやサービスの構築が必要となります。RBFで得た資金を、ウェブサイトなどの構築・改善に向けた開発費用として投下することで、売上の拡大に繋がります。
実際にRBFを活用し事業を拡大させた事例を紹介します。
FABRIC TOKYO(弊社インタビュー記事)
同社は、オーダービジネスウェアブランド「FABRIC TOKYO」を手掛ける国内のD2C企業です。広告宣伝費やプロダクト開発費用など、マーケティングやUX体験向上のための資金調達手段を模索していました。
年に2回の繁忙期があり、広告投資などもその時期に集中する傾向があるため、特に広告投資については毎年頭を悩ませておりました。
当社のビジネスモデルは、SaaSのようにリピート顧客の売上によって高いLTV/CACを実現する形となっています。
そのため、RBFのスキーム(顧客獲得に必要な資金を調達し、獲得したリピート顧客による売上から支払いを実施)と非常にフィットし、結果としてより効率的な広告投資を実現できるようになりました。
今回はD2C企業向けの新たな資金調達手段としてRBFの活用方法を紹介しました。
Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。
「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短6営業日)に調達可能です。
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