24 May 2023
スタートアップが成長していくために欠かせない資金調達には、株式や融資によるものなど、複数あります。昨今、株式でも融資でもない、新たな資金調達手段として、レベニュー・ベースド・ファイナンシング(以下、RBF)が注目されています。
過去の記事では、将来の売上を必要な資金だけ、”今” 調達できるRBFの概要を紹介しました。今回はさらに深掘りして、RBFを活用する具体的なメリットや最低限おさえておきたいポイントについてを解説します。
こんな方におすすめ
RBFは、SaaSやD2Cをはじめとする企業の売上実績を基に、将来の売上を予測し、その結果をもとに資金調達の機会を提供する仕組みです。日本では債権譲渡のスキームを利用しています。
スタートアップの成長を後押しする手段として注目を集めており、海外(欧米)では数多くのRBFスタートアップが存在しています。
RBFにおける最大のメリットと言っても過言ではないのが、資金調達期間の短さです。既存の金融機関のように調達まで長期間かからないため、ビジネスを高速に成長させることができます。
また、金融機関の審査結果を待ったり、面談しているうちに資金ショートしてしまうというリスクを低減できます。弊社RBFプラットフォーム「Yoii Fuel」では、申し込みから着金まで最短6営業日以内で資金提供することが可能です。
RBFは資金調達にかかる負担が小さいことも魅力の一つです。RBFは株式や融資による資金調達と異なり、事業計画書や株主名簿などの資料を提出する必要がありません。
また、RBFは申し込みから着金までオンラインで完結するケースが一般的となっています。
Yoii Fuelは、申込時に必要なのは決算資料の提出とクラウド会計との連携のみとなっています*。*もちろん、デューデリジェンスや審査への対応も必要ありません(将来売上を予測するために、別途資料を求める場合があります)。
RBFは融資と異なり、個人保証や担保が必要ありません。スタートアップのように創業して間もない内は、担保となる資産をもっていないケースがあります。しかし、RBFではその心配はありません。
RBFでは、株式による資金調達のように、持分が希薄化することがありません。RBFを用いることで、議決権を手放すことなく、スタートアップは事業の成長に集中することができます。
一般的にリカーリング/サブスクリプションモデルでビジネスを展開する企業は、継続的な収益が得られる一方、顧客獲得コスト(CAC)が月次収益を上回るというキャッシュフロー上の弱点があります。
例えば月額1万円のサービスを提供しており、CACが3万円だとすると、その回収に3ヶ月かかります。このような企業は顧客獲得する度に、短期的な赤字がかさむ状況となります。
このような状況を回避するために、SaaSをはじめとした多くのベンダーでは、ディスカウントを条件に年間契約および前払いにし、顧客獲得時点でキャッシュを確保しようとする傾向があります。
しかし、年間契約前払いによってベンダーが得るキャッシュフローは、言い換えれば顧客のキャッシュフローを圧迫します。したがって多くの場合、顧客は年間契約を締結しづらいというジレンマがあります。
RBFはこのジレンマを解消し、ベンダーが大幅なディスカウントをすることなく、年間契約前払いと同等のキャッシュフロー改善を可能にします。つまりベンダーは、RBFによって得た資金で顧客獲得をより推進できるようになります。
とはいえ、この時に注意しなければならないのは、RBF手数料を含むCACが常にLTV(顧客生涯価値)より小さくなっている必要があります。
冒頭で述べたように、RBFは将来売上を予測し、いま必要な成長資金として現金化する仕組みです。つまり、予測するための売上実績がない場合、RBFを利用できないことが一般的です(Yoii Fuelでは直近6ヶ月以上の売上高が必要です)。
売上実績があったとしても、将来の売上を予測しにくいビジネスの場合、RBFを活用できない可能性があります。
そのためRBFは、SaaSやD2Cをはじめとしたサブスクリプションビジネスを展開しているスタートアップと相性が良いとされます。
RBFは、企業の収益に応じてファイナンスを行う仕組みです。株式による調達のように、過去や将来の売上以上の金額は調達できないため、調達額が想定より小さくなる場合があります。
補助金や助成金などは返済不要ですが、RBFでは毎月の支払いが発生します。
こちらの記事でも書いたように、RBFにおける支払方法には主に2種類存在します。1つ目は、毎月決まった額を支払う「**定額型」**で、もう一つは、売上の一定割合を支払う「**変動型」**です(Yoii Fuelは「定額型」を採用しています)。
いずれにせよ、月々の支払いが必要となるため、資金繰りには注意が必要です。
RBFは、利用にあたり一定の手数料が必要となります。手数料率は、利用企業の売上実績、資金調達額、支払期間などにより決定されます。
今回は、RBFを活用する上でおさえておきたいメリットおよびポイントを紹介しました。スタートアップの資金調達には、株式や融資だけでなく、RBFのような新たな選択肢が増えています。
それぞれにメリット・デメリットが存在するため、自社の経営状況や事業計画に合わせて、組み合わせていくことが大切です。
参考文献:Revenue-Based Financing、Revenue-Based Loans
Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。
「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短6営業日)に調達可能です。
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