
2026年02月13日
VCやエンジェル投資家からの出資は、スタートアップにとって重要な資金調達の方法です。しかし、株式の希薄化などのリスクもあります。
そこで注目したいのが、補助金などの公的な支援制度です。
補助金は受け取っても返済が不要で、株式の希薄化も発生しません。融資など他の資金調達手段と組み合わせれば、より有利な環境で事業の成長を加速できる可能性を高められます。
しかし補助金について調べてみると、制度の種類や説明が多く、わかりづらく感じる方も多いです。
この記事では、スタートアップが活用できる補助金について、以下のポイントを中心に解説します。
「補助金は気になっているけれど、何から手をつければいいかわからない」という方は、ぜひこの記事をお読みください。資金繰りの選択肢が増えれば、事業を成長させるチャンスも広がります。
スタートアップ企業が補助金を積極的に利用した方がよい理由や注意点として、
について説明します。 また、補助金はスタートアップだけではなく、政府にとっても意義がある点も紹介しましょう。
スタートアップの資金調達と聞くと、VCやエンジェル投資家からの出資を思い浮かべるのではないでしょうか。
もちろん株式発行による出資は重要な資金調達手段です。しかし、それだけに頼る戦略にはリスクもあります。出資の注意点は、資金調達のたびに創業者の持分比率が下がり、株式が希薄化することです。
企業価値(バリュエーション)が十分に上がりきっていない段階で大きな金額を調達すると、多くの株式を手放すことになります。将来のラウンドで意図せず、資金調達の選択肢が限られたり、創業者の経営権が弱まってしまう可能性もあるのです。
こうしたリスクを抑えるために重要なのが、資金調達の手段をいくつか持っておくという考え方です。VCやエンジェル投資家などからの出資に加えて、以下のような選択肢もあります。
| 資金調達手段 | 概要 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 補助金・助成金 | 公的機関などによる資金支援 | 原則返済不要(賃上げなどの要件未達時は返還が必要な場合あり)、株式の希薄化なし |
| 金融機関からの融資 | 銀行などから資金を借り入れる方法 | 株式の希薄化なし、まとまった資金も確保可能 |
| RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング) | 将来の売上を原資に資金を調達する方法 | 将来の売上が立てば調達可能、株式の希薄化なし、担保不要 |
資金調達の選択肢が広がれば、より多くの資金を、事業に適したタイミングで調達できるようになります。
そういった選択肢の中でも、政府からの補助金は返済や株式発行などの義務は原則なく、魅力的な資金調達手段です。スタートアップの成長を加速させる第一歩に活用しましょう。
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「今こそ知りたい銀行融資の基本 コロナ後の融資環境の変化や審査に通るためのポイントも解説」 「5分でわかる「レベニュー・ベースド・ファイナンシング(RBF)」デットでもエクイティでもない新たな資金調達手段」スタートアップが補助金を活用する大きなメリットは、株式を外部に渡すことなく、返済が不要な資金を得られるという点です。
株式発行を伴う出資のように、株式の持分比率が下がることはありません。銀行融資のように、毎月の返済義務が発生することもありません。製品開発やマーケティングなどの成長投資により多くの資金を振り向けることができるのです。
2つ目のメリットとして、申請の手続きを進める中で、事業計画の改善につながります。
補助金の申請では、事業の市場性、実現可能性や収益計画などの具体的な説明が必要です。書類の準備を通じて、自社の強みや課題があらためて整理され、事業計画がよりよいものへと練られていきます。VCへのピッチ資料を作成する際にも、補助金を申請する経験は大いに役立つでしょう。
3つ目は、補助金への採択実績が、対外的な信用力の向上につながる点です。
補助金が採択されたという結果は、第三者である公的機関が、事業計画を評価した証です。こうした実績は、投資家や金融機関にとっても安心材料になり、信頼獲得につながります。
補助金はメリットの大きな資金調達手段です。しかし、補助金を利用する前に、いくつかのデメリットも理解しておく必要があります。
まず、補助金は原則「後払い」である点に注意が必要です。 補助金は、事業を実施して経費を支払った後、その実態にもとづいて支給されます。事業期間中は、自社で立て替え資金を用意しなければなりません。 手元のキャッシュに余裕がないスタートアップにとっては、この資金繰りが大きな負担になるおそれがあります。
次に、申請書類の作成や採択後の報告が必要となり、事務的な負担が大きくなってしまいます。 補助金を申請するには、事業計画書や経費の見積書など、さまざまな書類の準備が必要です。補助金に採択された後も、経費に関する証拠書類の保管や、完了報告書の提出が求められます。
補助金の申請から受給までに、管理コストが継続的に発生します。創業期で人手が限られている組織で、このリソースを確保できるかは現実的な課題になるでしょう。
3つ目は、人気のある制度は競争率が高く、必ず採択されるわけではない点です。
時間と労力をかけて申請し、不採択となってもその分のリソースは戻ってきません。自社にとって補助金が必要かどうか、申請前にきちんと検討しましょう。補助金が採択されないと成り立たない事業計画は組まないようにします。
見落とされがちなデメリットとして、補助金を利用すると事業のスピード感が落ちるリスクもあります。
補助金には公募や審査期間があります。「この補助金を使って投資しよう」と考えると、交付決定を待ってから発注・契約を進めなければなりません。スタートアップにとって、スピードは最大の武器のひとつです。補助金の採択スケジュールに合わせて事業の展開が遅くなると、競合に先を越されるリスクもあります。
そもそも政府がスタートアップに対して補助金を用意しているのは、単なる手助けではありません。補助金を通じて技術革新や事業開発を促すことは、社会全体にもよい影響をもたらすと考えられています。
一方で、こうした投資活動は民間の力だけでは、社会的に望ましい水準よりも少なくなってしまう傾向にあります。こうしたギャップを埋めるのが補助金の役割です。
このような経済学的な議論については、この記事の後半で詳しく解説しますので、あわせてお読みください!補助金の背景にある考え方は、補助金を申請する際にも重要となります。
2025(令和7)年度の補正予算では、中小企業・小規模事業者向けの支援策として総額8,364億円が計上されました。既存の基金活用分を含めると、その規模は約1兆1,300億円にのぼります。
補正予算で強化・継続される6つの支援策について、スタートアップの成長ステージ別に詳しく解説します。
まず、記事執筆時点(2026年2月)で申請を受け付けている最中、または今後公募が予定されている補助金のスケジュールをまとめました。
【直近の申請スケジュール一覧(2026年2月〜4月)】
| 補助金名 | 公募回 | 申請開始日 | 申請締切日 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金(通常枠) | 第19回 | 2026年3月6日 | 2026年4月30日17時 |
| 小規模事業者持続化補助金(創業型) | 第3回 | 2026年3月6日 | 2026年4月30日17時 |
| ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金) | 第23次 | 2026年4月3日17時 | 2026年5月8日17時 |
| デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金) | — | 2026年3月下旬頃(予定) | — |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 第5回 | 2026年2月2日 | 2026年2月27日17時 |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | — | 随時受付中 | 当面の間、随時受付 |
| 中小企業成長加速化補助金 | 第2回 | 2026年2月24日 | 2026年3月26日15時 |
| 新事業進出補助金 | 第3回 | 2026年2月17日 | 2026年3月26日18時 |
| 事業承継・M&A補助金 | 第14次 | 2026年2月27日 | 2026年4月3日17時 |
※ スケジュールは変更される場合があります。最新情報は中小機構の補助金活用ナビをご確認ください。
表にあげた補助金を申請するにはGビズIDの取得が必要です。まだ取得していない方は、マイナンバーカードを使ったオンライン申請をおすすめします。 最短で即日にてIDを発行可能です。書類による申請だと、発行までに数週間かかる場合もあります。
補助金の公募開始を待たずに、早めの準備を進めておきましょう。
令和7年度補正予算で強化および継続が確定している支援策は、大きく6つのカテゴリに分類できます。それぞれの制度で、想定する企業のステージや投資規模が異なるため、自社の成長フェーズに合った施策を選ぶのが重要です。
下の表のように、6つの支援策の全体像を整理できます。
| 支援策のカテゴリ | 主な対象 | 代表的な補助金 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 小規模事業者の販路開拓支援 | シード期 | 小規模事業者持続化補助金 |
| 2 | 生産性向上・デジタル化・AI導入支援 | アーリー期 | ものづくり補助金、デジタル化・AI導入補助金 |
| 3 | 省力化投資支援 | アーリー〜グロース期 | 中小企業省力化投資補助金(カタログ型・一般型) |
| 4 | 成長投資支援 | グロース期 | 中小企業成長加速化補助金、中堅・中小成長投資補助金 |
| 5 | 研究開発や新事業への進出支援 | ディープテック・新規事業 | SBIR制度、新事業進出補助金 |
| 6 | 事業承継・M&A支援 | M&Aによる拡大期 | 事業承継・M&A補助金 |
それぞれの支援策について、具体的な内容をステージ別に解説していきましょう。
シード期のスタートアップが検討しやすい制度が、小規模事業者持続化補助金です。この補助金は、経営計画にもとづいて販路開拓などの取り組みに対して支給されます。 販路を広げるために必要となるWebサイト制作費や広告宣伝費、展示会への出展費用などが補助対象となります。
通常枠の補助上限額は50万円(補助率3分の2)です。創業型であれば上限額が200万円となります。 いずれのタイプでも、インボイス発行に対応したとみなされる要件を満たすと、上限額がさらに50万円上乗せされます(インボイス特例)。直近の公募では、創業型の対象は創業から1年以内の事業者となったので注意が必要です。
事業を伸ばしたいスタートアップとの相性がよい制度です。補助金の申請プロセスを初めて経験する場としても役に立ちます。
ものづくり補助金やデジタル化・AI導入補助金は、事業が拡大する段階に入ったアーリー期のスタートアップにとって有力な選択肢といえます。
ものづくり補助金は、正しくは「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」という名称です。革新的な新製品・サービスの開発を支援する制度であり、対象は製造業だけに限りません。SaaSやD2C、EC事業に取り組む企業でも活用できます。
ものづくり補助金の補助率は2分の1〜3分の2、補助額の上限は従業員数に応じて750〜2,500万円となります。ただし、補助期間が終了して3〜5年間に、従業員の賃上げに関する条件を達成しなければならないため、事前に要件をチェックしておく必要があります。
デジタル化・AI導入補助金は 、DX化や業務の効率化、インボイス対応などを目的としたITツールの導入を支援する制度です。幅広い経費が対象となる通常枠では、補助率は2分の1〜3分の2、補助額の上限は150〜450万円(業務プロセスの数による)となっています。
従来のIT導入補助金から、2026年度に名称変更され、2回目以降の申請では賃上げ計画とITツール導入効果の報告が要件化されています。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足へ対応するために、省力化につながる設備やシステムの導入をサポートする仕組みです。
一般型とカタログ注文型の2種類があります。 一般型は、自社の事業に合わせた設備を導入できるプランです。事業に合わせてオーダーメイドで製品を準備したり、スペックを変える必要があれば、一般型で申請しましょう。補助率は2分の1〜3分の2、補助額の上限は1億円です。
カタログ注文型はあらかじめ登録された製品から、導入するものを選ぶ仕組みです。補助率は2分の1以下、補助額の上限は1,500万円となります。カタログ注文型は随時申請を受け付けており、審査から交付決定まで最短1ヶ月の短い期間で補助金を活用できます。
限られた人数で事業を回すスタートアップにとって、人手という制約を補助金で緩和できるのは大きなメリットです。
シリーズA以降の成長フェーズであれば、
などを活用し、事業の成長速度を上げるのがおすすめです。
中小企業成長加速化補助金は、売上100億円を目指す中小企業を対象に、成長のために大胆な投資をサポートする制度です。最大で5億円(補助率は2分の1)を支援します 。申請には「100億円企業宣言」への登録が要件 となっており、成長へ向けた目標や計画を示すことが求められます。
中堅・中小成長投資補助金は、スタートアップなどの中小企業が持続的な賃上げのために、工場などを新設したり大規模な設備投資をする場合に補助がおりる制度です。補助額の上限は50億円で、補助率は3分の1までとなります 。
投資額が20億円以上で、補助終了後の3年間で従業員の給与総額を年あたり平均5%引き上げる事業が対象です。ただし100億宣言企業は、投資が15億円以上、賃上げ要件が年あたり4.5%以上にそれぞれ緩和されます。
政府は今後も100億円企業を宣言しているような、大きな成長を志向する企業への補助を強化していくと考えられます。事業の成長を目指すスタートアップやグロース企業にとっては、追い風となる制度が今後も続くでしょう。
研究開発に取り組むスタートアップで大規模な資金が必要であれば、SBIR制度(中小企業技術革新制度)や新事業進出補助金が有力な選択肢となります。
SBIR制度は、各省庁が提示する研究開発課題に応募する仕組み で、採択されれば開発資金を獲得できます。政府が設定した技術テーマに沿って研究開発を進めるため、社会課題の解決と事業成長を両立させやすい制度です。
SBIRは、研究課題ごとに補助内容や要件が異なります。 関心のあるプロジェクトがあれば要件をあらかじめ確認しておきましょう。
新事業進出補助金は、既存事業とは異なる新たな市場で、高い付加価値を生む事業を創出する取り組みを支援する制度です。 具体的には、以下の3要件を満たす事業が補助の対象となります。
補助上限額は企業規模により2,500〜7,000万円となり、補助率は2分の1です。補助期間終了後に、賃上げ要件を満たせなければ補助金を返還する必要があります。 一方で、大幅な賃上げを実施する場合は、特例として3,000〜9,000万円に上限が引き上げられます。
事業承継・M&A補助金は、中小企業の事業承継やM&Aにおける設備投資や経営資源の引継ぎ、引継ぎ後の経営統合(PMI)などを支援する制度です。後継者の不在による廃業を防ぎ、事業の継続や発展を促すことを目的としています。
スタートアップ企業が買い手側としてM&Aに取り組む場合は「専門家活用枠」や「PMI推進枠」の利用を検討することになります。「専門家活用枠」であれば、M&Aに伴って専門家への依頼をかける際に生じる費用やデューデリジェンス費用が主な補助対象です。「PMI推進枠」はM&A後の経営統合にかかる専門家費用や設備投資が補助されます。
ここまでフェーズ別に整理してきましたが、業種によっても相性のよい補助金は異なります。SaaS・ITサービス系のスタートアップであれば、小規模事業者持続化補助金やデジタル化・AI導入補助金が利用しやすい制度だと考えられます。ソフトウェア開発がものづくり補助金の対象になり得る点も押さえておきたい点です。
D2C・EC事業者にとっては、小規模事業者持続化補助金がECサイト構築や広告宣伝費、展示会出展費用に活用しやすく、販路開拓の初期投資を抑えるのに適しています。ECサイトやシステムの構築で多額の資金が必要であれば、補助上限額がより高い制度を利用しましょう。
製造業・ハードウェア系のスタートアップは、ものづくり補助金との相性がよく、試作品開発から生産設備の導入まで幅広い投資をカバーできます。後のフェーズでより大規模な補助金が必要であれば、中小企業省力化投資補助金などの活用を検討するのがよいでしょう。
補助金はそれ自体が魅力的な資金調達方法です。しかし、株式発行や融資など他の手段と組み合わせることで、さらに事業成長に結びつけられます。有効に補助金を活用する方法について解説します。
スタートアップが資金を調達する際には、株式発行や融資と補助金を組み合わせると、より多くの資金を効率的に活用できます。
株式発行による資金調達は、スタートアップが成長資金を確保するために重要です。ただし、株式を出資者に発行することになり、希薄化は避けられません。銀行などからの融資であれば株式を渡す必要はありませんが、経営状態にかかわらずスケジュールに沿った返済が求められます。
一方で補助金を受け取っても、株式発行も返済も生じません。そのため、事業のために必要な費用を補う効果的な手段といえます。 ひとつの手段に頼るのではなく、事業フェーズや資金の使いみちに応じて、複数の調達方法を組み合わせるという発想が重要です。
補助金に採択されたという実績は、VCと資金調達について交渉する際にもよい影響をもたらします。
補助金に採択されたということは、第三者である公的な機関が事業計画を審査し、一定の妥当性を認めたことを意味します。特に、創業直後で実績が十分にあがっていないスタートアップにとっては、事業の将来性に対する信頼を高める効果があると考えられるのです。 採択を実績とみなす効果があると複数の研究で示されており、こうした効果は「認証効果」と呼ばれています(加藤、2022)。
株式発行や融資に加え、近年注目されている資金調達手段がRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)です。RBFは将来の売上予測をもとに資金を調達する仕組みです。現時点で売上が発生していなくても将来の売上が見込めれば資金を調達できます。株式の希薄化が生じず、担保や保証人も不要という特徴があります。
補助金とRBFとを組み合わせることで、スタートアップの資金繰りをより円滑に進められます。 補助金は原則後払いのため、経費の支払い手続きが全て完了するまで、補助金を受給することができません。必要な立て替え資金をRBFで確保しておき、補助金が入金された後にRBFの支払いを進めるという設計です。
補助金とRBFはいずれも希薄化を伴わない手段として、相性のよい組み合わせといえます。
ここまで説明してきた内容を踏まえ、補助金などの支援制度をどう活用すればよいか、フェーズごとに整理してみましょう。
シード期の企業では、小規模事業者持続化補助金を活用しつつ、創業融資を組み合わせて資金を調達するプランがおすすめです。これらの制度を使っても資金が不足するようなら、株式発行による出資などを検討するとよいでしょう。 創業直後で過去の実績が少ない企業であっても、初期の開発費用やマーケティング費用を確保し、スタートダッシュの成功につながります。
アーリー期の企業であれば、事業の本格的な発展に踏み出すタイミングとなっていると考えられます。ものづくり補助金やデジタル化・AI導入補助金などを活用することで、製品開発や事業展開をより効率的に進められる環境を整えることも可能です。 さらなる事業成長に向けて、足元を固めたり、さらなる設備投資に活用できます。上であげた補助金は、従業員の賃上げが必須の制度もありますので、申請の前には要件をチェックしておきましょう。
自社がグロース期に入っていれば、
を使いつつ大胆な投資に踏み出し、新たな事業への進出や、大規模な設備投資などに踏み出せないかを検討してみましょう。これらの補助金は金額が大きく、「100億円企業宣言」を発するような、成長への意欲のある企業に向いています。 残りの資金を、金融機関からの融資や出資を通じて調達します。
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「スタートアップ必見!創業融資で事業を加速するための活用ガイド」スタートアップが生み出す技術革新や製品開発への投資は、当事者となる企業自身はもちろん、業界全体の生産性向上や新たな雇用の創出につながる可能性が高いです。 こうしたよい影響は、日本経済全体にも伝わっていくと考えられます。このように技術開発に携わる当事者以外にも、社会によい影響が波及する効果を、経済学では「正の外部性」と呼びます。
しかし正の外部性を持つような技術開発への投資は、社会的に望ましい大きさよりも過少になると考えられます。 企業が投資判断を行ううえで考慮するのは自社の利益であり、社会全体への波及効果は経営判断に含まれない場合が多いからです。「市場に任せると望ましい規模より小さくなる投資」を補うために、政府が補助金によって支援することが正当化されるのです。
政府から支援が行われるもうひとつの根拠は、金融市場における、情報の非対称性の問題と整理できます。 情報の非対称性とは、取引する当事者の間で、保有している情報に格差がある状況をいいます。こうした情報の非対称性が金融市場に存在することで、事業者が望ましい水準の資金調達を受けられないと考えられます。
例えば、スタートアップ企業が借り手として、金融機関へ融資を申し込む状況を考えてみましょう。このスタートアップが将来の収益をあげられる事業を進めているとしても、貸し手である金融機関にはそれを判断できる情報がない場合が多いです。そこで金融機関は、スタートアップへの融資に消極的になったり、担保や保証人をとるのです。こうした状況は、情報の非対称性の問題と解釈できます。
創業直後であれば事業の有望さに関する情報は少なく、こうした課題を解消するのは難しいでしょう。金融市場での取引だけでは十分な資金が行き届かない問題を解決するうえで、政府による支援が必要です。 ちなみに、日本政策金融公庫による公的な融資も、こうした問題を改善するための手段と考えられます。
ここまで見てきた正の外部性や情報の非対称性に伴う問題は、いずれも経済学で「市場の失敗」と呼ばれている現象です。市場での取引だけでは適切な経済活動がなされない場合に、政府が介入して改善する必要があると考えられます。
先述した補助金制度は、このような考え方にもとづいて設計されています。企業の投資を促す補助金は、「単なる手助け」ではなく、社会全体にとって望ましい水準まで企業の投資活動を促すための政策手段として位置づけられます。
こうした理論的な背景をもとに、補助金の申請においても、自社の事業を通じて社会にどのような波及効果を与えられるかを考えておくのは重要です。経済産業省のミラサポplusも、補助事業計画の書き方として「地域社会への波及効果」も説明するように解説されています。
先ほど解説したとおり、補助金には市場の失敗をただすという役割があります。しかし、市場をよりよくするための制度が、意図通りにはたらいているかは別の問題です。
日本経済新聞は、SBIR制度はスタートアップ向けの支援を念頭においているにもかかわらず、採択事業者のおよそ2割を大企業が占めていた と報じました。新興企業の育成を目的とした制度でありながら、申請ノウハウやリソースに優れた大企業のほうが採択されやすいという構造的な問題が指摘されています。
この問題の背景には、日本版のSBIR制度を始めるにあたり、「弾力的な運用」を認めてきた点があると記事では報じています。
SBIR制度は本来、スタートアップや中小企業を主な対象としています。しかし制度を固める中で、省庁間の調整の結果、対象を絞らず柔軟に運用するとした公募プロジェクトも現れました。結果として、大企業への補助も許す公募も出てきてしまったのです。
スタートアップ支援という本来の目的と、実際の補助内容との間にギャップが生じている状態といえます。
上で述べた課題に対し、採択要件を厳格化するなど、制度を改善するための議論が進んでいます。一方で、補助金を利用するスタートアップも、制度の仕組みを正しく理解し、積極的に声を上げていく必要があります。
政策の立案者とスタートアップ事業者がともに対話を重ねて、本来届くべき対象に支援がいきわたる仕組みを構築し直していくことが、制度の効果を発揮するうえで欠かせません。
この記事では、スタートアップの資金調達で活用できる補助金を、制度の概要や活用方法、経済学から見た制度の意義を中心に解説しました。
補助金は、返済が不要で、希薄化も伴わない資金調達手段です。 令和7年度補正予算では6つの支援パッケージに総額1兆円以上が投じられています。企業がおかれているフェーズや、携わる業種に応じて、異なる制度を活用しましょう。
補助金と株式発行や融資を組み合わせることで、より柔軟に資金戦略を設計できます。多くの補助金は経費支出が完了してからでないと受給されませんが、RBFを活用すればよりスムーズな資金繰りを実現可能です。
補助金は単なるバラマキではなく、地域・日本経済の成長を目的とした政策の一環です。** 補助金への申請を進めるうえで、**
をきちんと考え準備すれば、補助金の受給とスピード感ある事業成長につながります。
株式会社Yoiiは、RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)という新たな資金調達の方法を提供しています。
RBFは、将来の売上予測をもとに資金を調達できるサービスです。 株式発行や融資などの伝統的な資金調達手段とは異なる、新しい選択肢を提供し、多くの企業から喜びの声をいただいています。
新たな取り組みにチャレンジするうえで、事業戦略や資金調達など、経営者は日々悩ましい問題に直面しています。今回紹介したスタートアップ・中小企業の支援策に関する話題も、背景には経営者の資金調達をめぐる悩みがあります。しかし、このような問題に取り組むうえで必要な情報がなかなか見つかりません。 何を考えどう取り組めばよいかが分からず、苦しんでいる企業も多いと感じています。
株式会社Yoiiは、経営戦略や資金調達に関する情報を発信し、学び合える環境づくりに貢献していく所存です。 より多くの人が新たなビジネスに挑戦し、成長できる社会を一緒につくりあげられれば、これほど嬉しいことはありません。
加藤 雅俊(2022)「スタートアップ企業に対する公的支援の効果」EBPM report、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)
https://www.rieti.go.jp/jp/special/ebpm_report/019.html
経済産業省「ミラサポplus」
https://mirasapo-plus.go.jp/
中小企業庁「中小企業対策関連予算」
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/index.html
中小機構「補助金活用ナビ」
https://seisansei.smrj.go.jp/subsidy_guide/subsidy_info/r7_schedule.html
日本経済新聞「スタートアップ補助、採択2割が大企業 「弾力運用」で骨抜きに」2025年12月15日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0464B0U5A101C2000000/
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