
2026年08月31日
株式会社Yoiiは、株式会社帝国データバンクの協力のもと、全国の企業1,840社を対象とした「資金調達に関する認知度・実態調査」を2026年4月に実施しました(有効回答373社)。
本記事では、その結果を詳報します。要点は次の3つです。
以下、調査の背景から結果の詳細、調査概要までを順に見ていきます。
近年、株式の希薄化を伴わずに成長資金を確保できる資金調達手法として、RBFが国内でも少しずつ広がりを見せています。一方で、その認知や利用の実態がどの程度浸透しているのかを示す定量的なデータは、これまで限られていました。
そこでYoiiは、RBFが国内企業にどの程度知られているのか、また企業の資金調達課題に対してどのような役割を果たしうるのかを明らかにするため、帝国データバンクの協力のもと本調査を実施しました。
調査では、企業がどのような目的で資金を調達しているのか、どのような手段を利用しているのか、資金調達にどのような課題を感じているのかを尋ねました。あわせて、RBFの認知度や検討意向も確認し、スタートアップと中小企業で比較しています。
なお本調査では、回答企業を「スタートアップ」と「中小企業」の2つに区分して分析しています。ここでいうスタートアップとは、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資を受けた、または受けうる成長企業層を指します。一方、中小企業は、VC出資を前提とせず、銀行借入などを中心に資金調達を行う非上場企業群として整理しています。この区分の詳細は本記事末尾の「調査概要」に記載しています。
RBFについて「内容まで知っている」または「名前だけ知っている」と回答した割合(認知度)は、スタートアップで52.4%、中小企業で12.0%でした。約4.4倍の開きです。

RBFは国内ではまだ比較的新しい資金調達手法ですが、スタートアップではすでに半数超が認知しており、22.3%が「内容まで知っている」と回答しました。成長企業の資金調達において、RBFが単なる新しい言葉ではなく、実際に検討されうる選択肢として浸透し始めていることを示しています。
一方、中小企業では88.0%が「知らない」と回答しました。RBFという選択肢が、中小企業にはまだほとんど届いていない状況が浮かび上がります。
認知した企業が、実際にどこまで検討や利用に進んでいるかを見てみます。次回の資金調達においてRBFを「検討したい」と回答した割合は、スタートアップで17.8%、中小企業で6.2%でした。また、直近2年で実際にRBFを利用したと回答した企業は、スタートアップで2.8%(3社)、中小企業では0.0%(0社)です。件数としてはまだ少数ですが、スタートアップ層では実利用の第一歩が始まっている状況です。

認知・検討・利用と段階が進むにつれ、どちらの市場でも数値は下がっていきますが、その「下がり方」には違いがあります。
この結果からは、スタートアップではRBFが「知っている」段階にとどまらず、一部では検討・利用の段階に進み始めていることが分かります。認知度は52.4%、検討意向は17.8%、実利用は2.8%と、まだ利用企業は少数ながら、認知から検討、利用へと進む動きが見え始めています。
一方、中小企業では認知度が12.0%にとどまり、そもそもRBFを知っている企業が限られています。そのため、検討意向6.2%、実利用0.0%という結果は、「RBFが比較検討されたうえで選ばれていない」というよりも、まだ検討の入口に立つ企業が少ない状態と捉えるのが自然です。
つまり、中小企業における当面の課題は、利用促進以前に、まずRBFという選択肢を知ってもらうことにあります。
直近2年で実際に利用した資金調達手段を見ると、両市場の資金調達の「型」がはっきり分かれました。

| 資金調達手段 | スタートアップ | 中小企業 |
|---|---|---|
| 銀行借入 | 50.9% | 43.0% |
| VC・事業会社からの出資 | 56.5% | 1.1% |
| 日本政策金融公庫 | 28.7% | 9.1% |
スタートアップは、VC・事業会社からの出資(56.5%)と銀行借入(50.9%)を併用する「株式調達(以下、エクイティ)+融資(以下、デット)」型です。株式による調達と借入による調達を組み合わせて成長資金を確保しています。
対して中小企業は、銀行借入(43.0%)を中心とし、VC・事業会社からの出資はわずか1.1%。借入を軸とした資金調達が主流です(注1)。
この構造の違いは、RBFがそれぞれの市場でどのような位置づけになりうるかを考えるうえで重要な前提となります。
なお、ここで示すのは「直近2年」に実施した資金調達の実績です。スタートアップの43.5%はこの期間にVC・事業会社からの出資を受けていませんが、これは資金調達を行っていないことを必ずしも意味せず、調達サイクルが2年より長い、または調査時点で交渉・検討中である可能性も含まれます。単純な普及率ではなく、直近2年間の活用実績として読み取ってください。
(注1)「VC・事業会社からの出資」は、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資と事業会社からの出資を合算した項目です。本調査では、VC出資を受けた企業は原則として「スタートアップ」に分類しているため、中小企業の1.1%は主に事業会社からの出資と考えられます。
資金調達における課題を見ると、スタートアップでは「審査に時間がかかる」(28.7%)、「資金調達コスト」(20.4%)、「手続きが煩雑」(17.6%)など、資金調達のプロセスや条件に関する課題が上位に挙がりました。
加えて、「株式の希薄化が進む」(16.7%)も一定数で見られ、成長資金を確保するうえで、スピード・工数・コストのバランスが課題になっていることがうかがえます。
【図表4:資金調達における課題(Q4・上位項目の比較)】
| 資金調達の課題 | スタートアップ | 中小企業 |
|---|---|---|
| 株式の希薄化が進む | 16.7% | 0.0% |
| 審査に時間がかかる | 28.7% | 8.3% |
| 手続きが煩雑 | 17.6% | 5.7% |
| 調達可能額が希望より少ない | 13.9% | 4.2% |
| 資金調達コスト | 20.4% | 21.1% |
| 特に資金調達をしていない | 7.4% | 31.3% |
一方、中小企業では「特に資金調達をしていない」(31.3%)が目立ちます。銀行借入を中心とした資金調達が主流であることも踏まえると、資金調達を成長投資のために積極的に使うというより、必要に応じて既存の借入手段を利用する企業が多い可能性があります。
また、「資金調達コスト」はスタートアップ20.4%、中小企業21.1%と、両市場でほぼ同水準でした。企業属性にかかわらず、調達コストは共通した関心事項であることが分かります。
RBFの利用を検討しないと回答した層に、その理由を尋ねました(複数選択)。ここでも両市場で「検討に至らない理由の形」が異なりました。

中小企業では「既存の資金調達手段で十分」が61.5%と単独で突出しました。もっとも、中小企業の88.0%がRBFを「知らない」と回答していることを踏まえると、この結果は「RBFを比較検討したうえで不要と判断している」というよりも、銀行借入など既存手段を前提に資金調達を考えており、RBFがまだ選択肢として認識されていない状態を示していると考えられます。
一方スタートアップでは、「財務戦略との不一致」(35.2%)、「コスト」(33.0%)、「仕組みへの理解不足」(31.8%)などに理由が分散しています。いずれも、検討の俎上には載っているものの個別の懸念が残っている、という段階を示しています。
今回の調査からは、RBFの認知度に大きな差があるだけでなく、スタートアップと中小企業で資金調達手段や課題の現れ方が異なることも見えてきました。
スタートアップでは、VC・事業会社からの出資と銀行借入を組み合わせながら、採用・開発・マーケティングなどの成長投資を行う企業が多く見られます。その一方で、株式の希薄化や財務戦略との整合性、調達コストに加え、資金調達までにかかる時間や、資料準備・交渉・社内外説明に伴う実務負担も課題になります。成長投資のタイミングを逃さないためには、必要な時期に資金を確保できるかどうかが重要です。
中小企業では、銀行借入を中心とした資金調達が主流です。ただし、銀行借入だけでは、急な受注増、広告投資、採用、仕入れ、サービス開発など、成長のタイミングに合わせた資金需要に十分対応しきれない場合もあります。融資の審査や手続きに時間がかかること、資料準備や金融機関とのやり取りに工数がかかることも、成長投資を先送りする要因になりえます。
今回の調査では、中小企業のRBF認知度は12.0%にとどまりました。つまり、多くの企業は、RBFを比較検討したうえで選ばないのではなく、そもそも選択肢として認識していませんでした。
RBFは、既存の銀行借入と併用でき、売上データ等をもとに審査を行う資金調達手法です。株式の希薄化を伴わず、経営者の担保や保証が不要です。それに加えて、資金調達にかかる経営者や財務責任者の膨大な労務コストを抑えながら、必要なタイミングで成長資金を確保しやすい点も特徴です。手元資金や借入枠の制約・調達にかかる時間や労務コストの負担によって成長投資を先送りしている企業や、経営者の時間そのものを資金調達にかけることで事業成長の速度に制限がかかっている企業にとって、効果的な選択肢になりえます。
本記事では調査結果の全体像を紹介しました。次の記事では、スタートアップと中小企業それぞれについて、RBFがどのような場面で活用されうるのかを詳しく解説します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名称 | 資金調達に関する認知度・実態調査 |
| 調査委託先 | 株式会社帝国データバンク |
| 調査方式 | 郵送およびWebによるアンケート調査 |
| 調査時期 | 2026年4月 |
| 調査対象 | 全国の企業1,840社 |
| 有効回答 | 373社(回答率20.3%) |
| 内訳 | スタートアップ108社(VC出資を受けた、または受けうる成長企業層)、中小企業265社(VC出資を前提としない中小・新興企業層) |
※本記事における「スタートアップ」「中小企業」は上記内訳の区分に基づきます。
※構成比は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※本調査の結果は調査対象企業の回答に基づくものであり、日本の企業全体の傾向を統計的に代表するものではありません。
※調査結果を引用いただく際は「Yoii調べ(調査実施:帝国データバンク)」と明記ください。
Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。

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