中小企業の6割が「既存の資金調達で十分」――銀行借入を主軸に、追加の選択肢を持つという考え方

    2026年09月10日

    中小企業の6割が「既存の資金調達で十分」――銀行借入を主軸に、追加の選択肢を持つという考え方

    「今の資金調達で、特に困っていない」――多くの中小企業にとって、これは率直な実感のようです。

    Yoiiが帝国データバンクの協力のもと実施した「資金調達に関する認知度・実態調査」では、新たな資金調達手段を検討しない理由として、中小企業の61.5%が「既存の資金調達手段で十分」と回答しました。銀行借入(デット)などの既存手段が、引き続き資金調達の中心にあることがうかがえます。

    本記事は、現在の資金調達を変えることを勧めるものではありません。想定外の受注や投資機会など、追加の資金ニーズが生じたときに備え、銀行借入と併用して検討できる選択肢を紹介します。

    調査が示す中小企業の資金調達の現状

    まず、調査から見えた中小企業の資金調達の姿を確認します。
    直近2年で利用した資金調達手段は、銀行借入が43.0%で中心でした。

    項目割合
    1 銀行借入43.0%
    2 日本政策金融公庫9.1%
    3 VC/事業会社出資1.1%
    5 社債発行1.5%
    6 ファクタリング0.8%
    7 RBF0.0%
    8 資金調達なし10%台

    日本政策金融公庫の9.1%がこれに続きます。銀行や公庫からの借入を軸に、資金調達を組み立てているのが実態です。

    さらに、今後1年の資金調達について尋ねたところ、約半数(49.4%)が「調達の予定はない」と回答しました。

    【中小企業の今後1年の資金調達予定】

    回答割合
    調達予定なし49.4%
    その他運転資金14.0%
    設備投資12.8%
    仕入・在庫12.5%
    採用・人件費10.2%

    この数字からは、多くの中小企業が現時点で積極的な資金調達を予定しておらず、銀行借入などの既存手段を中心に資金調達を考えていることが分かります。

    スタートアップでは、RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)はもはや一部の企業だけが知る手法ではなく、半数超に認知される資金調達の選択肢となっています。一方、中小企業における認知度は12.0%にとどまります。そのため、「既存の資金調達手段で十分」という61.5%の回答には、RBFを比較検討した結果だけでなく、そもそも選択肢として十分に認識されていない状況も反映されていると考えられます。

    だからこそ、本記事の出発点は「今のやり方を変えましょう」ではありません。銀行借入を主軸に置きながら、必要なときに検討できる別の選択肢を知っておく、という話です。

    それでも、資金ニーズが生まれる瞬間がある

    「調達予定なし」と考えている企業にも、事業を続けていれば、予定になかった資金ニーズが訪れることがあります。たとえば、こんな局面です。

    こうした局面で、まず検討されるのは追加の銀行借入でしょう。それが適しているケースも多くあります。

    ただし銀行融資では、金融機関や申込内容によって、決算書や試算表、資金繰り表、取引先別の売上資料など、複数の書類の提出を求められることがあります。取引先が多い企業ほど資料の準備や確認に手間がかかり、審査中の照会対応を含めて、経営者や経理・財務担当者の負担が大きくなる場合があります。

    特に繁忙期は、本業の業務量が増える一方で、仕入や人員確保のための資金も必要になりやすい時期です。資金を必要としていても、書類の準備や審査対応に十分な人手と時間を割けないことがあります。また、審査や契約手続きに一定の時間を要し、必要なタイミングに資金の確保が間に合わない可能性もあります。

    そうしたとき、「銀行借入か、それ以外か」という二者択一ではなく、銀行借入を主軸に置きながら、追加的な資金ニーズに対して、対応工数や調達までの期間が異なる手段を組み合わせるという考え方があります。

    銀行借入を“置き換えない”という考え方

    新しい資金調達手段というと、現在使っている手段から乗り換える話に聞こえるかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。

    銀行借入を主軸に置きながら、一時的・追加的な資金ニーズが生じたときに、別の手段を組み合わせて補う。既存の資金調達を否定するのではなく、その隣にもう一つの引き出しを用意しておくイメージです。

    その際、金利や手数料だけでなく、資金を確保するまでの期間や、書類準備・審査対応に必要な工数も重要な比較項目になります。特に繁忙期や急な受注への対応では、必要なタイミングに間に合うか、社内の限られた人員で手続きを進められるかも含めて、資金調達手段を選ぶ必要があります。

    こうした場面で、既存の銀行借入と併用でき、調達までの時間と実務負担を抑えやすい選択肢の一つがRBFです。

    RBFとは――3つのポイント

    中小企業ではまだ認知が広がっていない選択肢のため、ここでは実務的に押さえておきたい3つのポイントに絞って説明します。

    1. 担保・経営者保証を必要としない場合がある

    借入では担保や経営者保証を求められることがありますが、RBFでは要否がサービスによって異なります。Yoii Fuelでは、担保・経営者保証は不要です。資金調達手段を比較する際の確認項目の一つになります。

    2. 銀行借入と併用して検討できる

    RBFは、銀行借入を一律に置き換えるためのものではありません。既存の借入状況や契約条件、自社のキャッシュフローを確認しながら、追加・一時的な資金ニーズに対する選択肢として検討できます。

    3.調達までの時間と実務負担を抑えやすい

    資金調達では、資金そのものの条件に加えて、必要書類の準備や審査対応にかかる時間も重要な判断材料です。

    Yoii Fuelでは、売上データ等をもとに審査を行うことで、資金調達にかかる実務負担を抑えやすくしています。審査や手続きが順調に進んだ場合、申込みから最短2週間での資金調達が可能です。繁忙期など、調達対応に十分な人手や時間を割きにくい局面でも検討しやすい点が特徴です。

    なお、RBFは株式を発行しないため、資金調達によって既存株主の持分が変化することはありません。ただし、本調査では中小企業のうち「株式の希薄化」を課題として挙げた企業は0.0%だったため、中小企業にとっては、担保・保証、既存借入との併用、調達スピードや実務負担の方が、より身近な比較ポイントになると考えられます。

    RBFの仕組みや、スタートアップ・中小企業を通じた全体像については、詳報記事で詳しく解説しています。
    参照:RBFの認知度はスタートアップ52.4%・中小企業12.0%――「資金調達に関する認知度・実態調査」結果詳報

    よくある疑問への回答

    調査では、中小企業がRBFを検討しない理由として「既存手段で十分」(61.5%)に次いで、「仕組みへの理解が不足している」(33.9%)、「コスト」(19.7%)が挙がりました。ここでは、後者の2点について考え方を整理します。

    仕組みがよくわからない、という点について

    RBFは、将来の売上をもとに資金を調達する手法です。支払い方法や調達可能額など、具体的な条件はサービスによって異なります。Yoii Fuelでは、支払いはあらかじめ定めた固定額で、担保・経営者保証を必要としない設計です。まずは借入とは異なる考え方の資金調達があることを知り、自社の資金使途やキャッシュフローに合うかを確認することが検討の第一歩です。

    コストについて

    RBFには手数料がかかります。Yoii Fuelの場合、手数料の目安は3〜15%です。銀行借入の金利とは費用の仕組みが異なるため、手数料率だけでなく、支払総額、支払い期間、資金を必要とする時期、自社のキャッシュフローへの影響を含めて比較することが重要です。

    一つの引き出しとしてRBFを

    本記事は、現在の資金調達を変えることを勧めるものではありません。銀行借入を中心とした調達で必要を満たせているのであれば、それが適した状態です。

    ただ、事業には予定外の局面がつきものです。そのときに、「銀行借入か、それ以外か」ではなく、「銀行借入に加えて検討できる選択肢がある」と知っておくことが、いざというときの経営の選択肢を広げます。

    RBFは、既存の資金調達を否定せず、その隣に置ける一つの引き出しです。RBFの全体像に関心があれば、以下の資料もご覧ください。

    資料ダウンロード:https://yoii.jp/download

    調査について

    本記事のデータは、Yoiiが帝国データバンクの協力のもと2026年4月に実施した「資金調達に関する認知度・実態調査」(全国1,840社対象、有効回答373社)に基づきます。調査の全体像と市場ごとの比較は、以下の詳報記事をご覧ください。
    参照:https://yoii.jp/posts/rbf-awareness-survey-2026

    ※本記事における「スタートアップ」「中小企業」は、本調査での分析区分に基づきます。スタートアップはVC出資を受けた、または受けうる成長企業層、中小企業はVC出資を前提とせず、銀行借入などを中心に資金調達を行う非上場企業群を指します。
    ※本調査の結果は調査対象企業の回答に基づくものであり、日本の企業全体の傾向を統計的に代表するものではありません。
    ※調査結果を引用いただく際は「Yoii調べ(調査実施:帝国データバンク)」と明記ください。

     

     ## 関連記事・資料

    よくある質問

    デットでもエクイティでもない新たな資金調達手段でSaaS企業を支援

    Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。

    Yoii Fuelの資金調達画面が表示されたノートPC

    「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短2週間)調達可能です。

    Yoii Newsletterへ登録いただくと、Yoii Blogの最新記事やイベント案内などをお届けします。

    その他の記事

    RBFやスタートアップの資金調達に関するトレンドを発信しています。

    Yoii Newsletter

    RBFやファイナンスに関するトレンドや解説をお伝えしています。ぜひ、ご登録ください。