
2026年09月10日
成長資金は必要だが、今このタイミングで新株を発行し、既存株主の持分を希薄化させるべきか――成長企業の経営者やCFOなら、一度は向き合う論点ではないでしょうか。
Yoiiが帝国データバンクの協力のもと実施した「資金調達に関する認知度・実態調査」では、VC出資を受けた、または受けうるスタートアップの16.7%が、資金調達の課題として「株式の希薄化が進む」ことを挙げました。
決して多数派ではありませんが、成長投資を進めながら、次のラウンドに向けた持分や資本政策の余地をどう残すかは、株式調達(以下、エクイティ)を経験・想定する企業にとって重要な論点です。
本記事では、調査データをもとに、成長企業が直面する資金調達の課題と、新株発行による希薄化を伴わずに成長資金を確保する選択肢について考えます。
まず、スタートアップがどのように資金を調達しているかを見てみましょう。
調査によれば、直近2年でスタートアップが利用した資金調達手段は、VC・事業会社からの出資が56.5%、銀行借入が50.9%でした。多くの成長企業が、エクイティと借入による調達(以下、デット)を併用していることが分かります。
参照:RBFの認知度はスタートアップ52.4%・中小企業12.0%――「資金調達に関する認知度・実態調査」結果詳報
そして、その資金は何に使われているのか。今後1年の資金使途としては、採用・人件費が35.2%、商品・サービス開発が35.2%と、成長のための先行投資が上位に並びました。運転資金の穴埋めというより、事業を伸ばすための攻めの資金需要が中心です。
| 資金使途 | 割合 |
|---|---|
| 採用・人件費 | 35.2% |
| 商品・サービス開発 | 35.2% |
| その他運転資金 | 22.2% |
| 広告・マーケティング | 20.4% |
| 仕入・在庫 | 16.7% |
成長投資のために、エクイティとデットを組み合わせて資金を確保する。これがスタートアップの資金調達の基本的な姿です。ただ、この構造には一つの論点がついて回ります。株式調達を重ねるほど、経営陣や既存株主の持分は薄まっていくという点です。
冒頭で触れた通り、資金調達の課題として「株式の希薄化が進む」を挙げたスタートアップは16.7%でした。

参照:RBFの認知度はスタートアップ52.4%・中小企業12.0%――「資金調達に関する認知度・実態調査」結果詳報
さらに、本調査ではRBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)に前向きな層の特徴も分析しました。その結果、株式の希薄化を課題として挙げた企業ほど、RBFの検討に前向きな傾向が見られました。
これは自然な結びつきといえます。RBFは株式を発行しない資金調達手法であり、「希薄化を避けたい」という課題に直接応える選択肢になり得るからです。
では、株式の希薄化を避けながら成長資金を確保するには、どんな選択肢があるのでしょうか。エクイティ、デット、そしてRBF(Yoii Fuel)の3つを、性質の違いで整理してみます。
【3つの資金調達手段の比較】
| エクイティ(株式調達) | デット(銀行借入) | RBF(Yoii Fuel) | |
|---|---|---|---|
| 株式の希薄化 | 生じる | 生じない | 生じない |
| 経営権への影響 | 生じうる | 原則なし | なし |
| 返済・支払い | 原則不要 | 固定の元利返済 | 将来売上をもとに、あらかじめ定めた条件で支払い |
| 担保・保証 | 不要 | 必要な場合が多い | 不要 |
| 調達スピード | 投資家との面談・条件交渉・DDなどに一定の期間が必要 | 審査や契約手続きに一定の期間が必要 | 最短2週間で調達可能 |
| 調達実務の負担 | 資料作成、投資家対応、条件交渉などが発生 | 資料提出、審査対応、契約手続きなどが発生 | 売上データ等をもとに審査し、調達にかかる実務負担を抑えやすい |
| 向いている局面 | 大型・長期の成長投資 | 安定した資金需要 | 調達工数を抑えながら、短期間で成長投資を前倒ししたい局面 |
RBFは、エクイティやデットを置き換えるものではなく、これらと併用しながら成長資金を確保するための選択肢です。すでに売上が立っている事業が、その将来売上をもとに成長投資を前倒しできます。
Yoii Fuelでは、売上データ等をもとにした審査により、資金調達にかかる実務負担と時間を抑え、最短2週間での調達が可能です。新株発行による希薄化を伴わず、エクイティや既存の借入とも併用できるため、現在の資金調達手段を置き換えることなく、必要なタイミングで成長資金を補完できる点が特徴です。
たとえば、次のエクイティラウンドを見据え、その前に売上の拡大や顧客獲得を進め、企業価値を高めた状態で投資家との交渉に臨みたい、という局面。こうした場面で、エクイティを補完する形でRBFが選択肢になり得ます。
とはいえ、RBFはまだ新しい選択肢です。調査でも、RBFを検討しなかったスタートアップが挙げた理由は、いくつかに分散していました。

これらは、中小企業に見られた「そもそも検討動機がない」という状態とは異なり、RBFを選択肢として捉えた際の、具体的な懸念です。順に考え方を整理します。
参照:RBFの認知度はスタートアップ52.4%・中小企業12.0%――「資金調達に関する認知度・実態調査」結果詳報
コストについて
RBFの価値は、他の資金調達手段と手数料だけを比較するのではなく、必要なタイミングで資金を投下し、将来の営業キャッシュフローの創出を前倒しできる点にあります。また、調達実務の負担を抑えやすいため、経営者が資金調達への対応に費やす時間を減らし、事業成長にリソースを集中できることもメリットです。
そのため、コストの妥当性は、調達した資金によって得られる追加収益や成長効果と比較して判断することが重要です。たとえばストック型ビジネスでは、資金投下によって見込まれる粗利益がRBFのコストを上回るのであれば、活用を検討する余地があります。
RBFとエクイティは、コストだけで単純に優劣をつけるものではありません。資金調達の目的や資金使途、必要なタイミングに応じて使い分けるべき選択肢です。
財務戦略との整合について
RBFは、既存のエクイティやデットを置き換えるものではなく、併用を前提とした選択肢です。VC出資と組み合わせ、ラウンド間や調達前フェーズでの成長維持として使うなど、財務戦略のなかに位置づけることができます。
仕組みの理解について
RBFは、将来の売上をもとに資金を調達する手法です。デットやエクイティとは異なる考え方で、既存の借入やVC出資と併用しながら、成長投資に必要な資金を確保する選択肢として位置づけられます。具体的な支払い条件や設計はサービスによって異なるため、検討時には自社のキャッシュフローや資金使途との整合を確認することが重要です。
調査データと合わせて考えると、RBFが選択肢になりやすいのは、次のような企業・局面です。
エクイティとデットでの資金調達のどちらかを経験しており、成長投資は加速させたいが株式は手放したくない――そうした成長企業にとって、RBFは検討に値する選択肢になりえます。
本記事のデータは、Yoiiが帝国データバンクの協力のもと2026年4月に実施した「資金調達に関する認知度・実態調査」(全国1,840社対象、有効回答373社)に基づきます。調査の全体像と両市場の比較は、以下の詳報記事をご覧ください。
RBFの認知度はスタートアップ52.4%・中小企業12.0%――「資金調達に関する認知度・実態調査」結果詳報
※本記事における「スタートアップ」「中小企業」は、VC出資の有無に基づく調査上の区分です。
※本調査の結果は調査対象企業の回答に基づくものであり、日本の企業全体の傾向を統計的に代表するものではありません。
※調査結果を引用いただく際は「Yoii調べ(調査実施:帝国データバンク)」と明記ください。
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