
2026年09月28日
D2C事業を運営していると、「人気商品が売り切れる前に追加生産をかけたいのに、仕入れ資金をすぐに用意できない」「広告を強めて売上を伸ばしたいタイミングで、先に広告費の支払いが発生する」といった資金繰りの課題に直面することがあります。
仕入れや製造、広告投資にかかる費用が先行し、売上が入金されるまでに時間差が生じるという課題は、D2Cに限らずEC事業者全般に共通します。その中でもD2C事業者は、自社商品の企画・製造に伴う在庫投資と、消費者へ直接販売するための広告投資を自社で負担するケースが多く、成長に向けた投資が手元資金の制約を受けて思うように実施できないことがあります。
こうした資金需要に対応する選択肢の一つが、RBF(レベニュー・ベースド・ファイナンシング)です。RBFは将来の売上をもとに資金を調達する手法で、仕入れ・製造や広告投資の費用が先行する場面で活用できます。
本記事では、D2C事業者が当社のRBFを活用した場面を解説したうえで、匿名化・集計した実行実績をもとに、主な資金使途、実行金額、RBFの利用期間、手数料率の傾向を紹介します。
D2C事業者では、単品販売や定期購入など、販売方法はさまざまですが、自社商品の仕入れや製造にかかる費用が販売前に発生する場合があります。そのため、商品が売れて代金が入金されるまでの間に、一時的な資金需要が生じます。
特に、人気商品の追加生産、新商品の立ち上げ、季節商材のまとめ仕入れなどでは、まとまった資金が必要になります。海外から商品や原材料を調達する場合は、発注から入荷までのリードタイムが長くなり、その間の資金負担も大きくなります。
サブスクリプション型は継続課金によって将来の売上を見通しやすい一方、商品の製造・仕入れ費用や、新規顧客を獲得するための広告費が、継続課金による売上の回収より先に発生するケースがあります。
広告宣伝でも同様の時間差が生じます。広告費をカード払いや月次請求で先に支払う一方、広告経由で獲得した顧客からの売上は、実際に口座へ入金されるまでに時間がかかる場合があります。効果の高い広告クリエイティブが見つかり、広告予算を積み増したいタイミングほど、この先行負担が手元資金の制約になりやすくなります。
当社のRBFにおけるD2C事業者の実行実績でも、仕入れ・製造費や広告宣伝費に充てられたケースが見られました。これらはEC事業者にも共通する資金需要ですが、商品の企画・製造と消費者への販売を自社で担うD2C事業者にとっても、重要な資金繰り課題になっていることがうかがえます。
ここからは、冒頭で紹介した当社のRBFにおけるD2C事業者の実行実績をもとに、実行金額、RBFの利用期間、手数料率の傾向を見ていきます。
※ここに記載した実行金額、RBFの利用期間、手数料率は、今回集計した実行実績の範囲であり、RBFとして対応可能な上限・下限を示すものではありません。
なお、RBFでは将来の売上をもとに調達可能額が判断されるため、実行金額は直近の月商規模などに影響されます。事業の売上規模や成長性、資金使途などを踏まえて個別に判断されるため、創業から日が浅い事業者や赤字フェーズの事業者でも利用できる可能性がある一方、売上実績がまだ小さい段階では、希望する金額での資金調達が難しい場合があります。
手数料率は、売上の安定性など、事業の状況によって変動します。また、支払いの設計には、契約時に定めた金額を毎月支払う固定型や、実際の売上に応じて支払額が変動する売上連動型などがあり、サービス提供者によって異なります。当社が提供するYoii Fuelでは固定型を採用しており、月々の支払額は売上の増減によって変動しません。
仕入れや広告投資に必要な資金を確保する方法として、銀行融資は有力な選択肢です。一般に資金調達コストを抑えやすく、安定した業績や返済実績がある事業者にとっては、まず検討しやすい方法です。
一方、創業から日が浅い、先行投資がかさみ赤字フェーズにある、仕入れや広告投資のタイミングに合わせて資金を確保したいといった場合には、銀行融資以外の方法も検討対象になります。銀行融資以外の手段としては、株式調達、ファクタリング、RBFなどがありますが、対象となる事業者や仕組み、調達条件はそれぞれ異なります。
VCからの株式調達は、高い成長性と将来的に大きなリターンが期待される一部のスタートアップにとって選択肢になります。ただし、すべてのD2C事業者が利用できる一般的な資金調達手段ではなく、株式の希薄化を伴います。特に、希薄化や株主構成の変化を避けたい場合や、株式調達が事業方針に合わない場合には選択しにくい方法です。
ファクタリングは、請求書などの売掛債権を早期に資金化する方法で、卸売取引などBtoBの売上がある事業者に向いています。クレジットカード決済やECモールの売上を入金前に資金化するサービスもありますが、対象となる決済手段や販売チャネルが限定される場合があります。
これに対してRBFは、将来の売上をもとに調達可能額などを判断します。直近の売上実績や今後の売上予測を示しやすい事業であれば、赤字フェーズや創業から日が浅い段階でも利用できる可能性があります。また、株式を発行しないため、株式の希薄化は発生しません。
主な資金調達手段の位置づけを整理すると、以下のようになります。
| 比較軸 | RBF | 銀行融資 | VC(株式調達) |
|---|---|---|---|
| 調達スピード | 最短2週間程度、オンライン中心で手続き可能 | 書類作成・やり取りに数ヶ月 | 数ヶ月単位 |
| 担保・個人保証 | 原則不要 | 求められるケースがある | 不要(株式の希薄化あり) |
| 調達コスト | 銀行融資と株式調達の中間 | 低い(金利) | 高い(資本コスト) |
| 株式の希薄化 | なし | なし | あり |
| 必要条件 | 一定の売上実績・将来の売上を予測しやすいこと | 過去の売上・決算内容が重視される | 事業計画・成長性 |
D2C事業者の資金需要は、一度きりで終わるとは限りません。春夏・秋冬の新作投入、セールシーズン、年末年始の商戦期など、年間を通じて仕入れや広告投資が必要になるタイミングがあります。
特に年末商戦などに向けては、販売の数ヶ月前から在庫を積み増す必要があり、その仕入れ資金をどう確保するかが毎年の課題になる場合があります。当社の実行実績でも、季節ごとの仕入れや広告投資のタイミングに合わせて、繰り返しRBFを利用したケースが見られました。単発の資金調達だけでなく、年間の資金繰り計画に組み込む活用も考えられます。
当社の実行実績では、D2C事業者によるRBFの実行金額と利用期間には幅がありました。
RBFは事業機会に合わせて資金を確保したい場合や、株式の希薄化を避けたい場合の選択肢として有効です。ただし、調達可能額や条件は足元の売上規模などを踏まえて個別に判断されるため、資金繰りに余裕がある段階で検討することが重要です。
資金調達を検討する際は、自社の資金繰りサイクル、資金が必要になるタイミング、調達コストなどを比較し、目的に合った方法を選びましょう。
※本記事のデータは、当社RBFサービスを通じて2024年〜2026年にD2C事業者が実行した資金調達実績を、個社が特定されない形に匿名化・集計したものです。掲載情報には十分に注意を払っていますが、RBFの実行には個社ごとに審査があり、資金調達の実行や条件を保証するものではありません。
Yoiiでは、このRBFの考えを基にしたSaaSやD2Cなどのスタートアップ企業に成長を加速するための独自のアルゴリズムを用いた未来査定型資金調達プラットフォーム「Yoii Fuel」を運営しています。

「Yoii Fuel」を用いると、申請に保証や担保は不要・株式の希薄化を防ぐだけでなく、会計・決済システムと連携すれば、より簡単にかつスピーディー(最短2週間)に調達可能です。
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